icon ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路

日時: 2006/11/20 16:52
名前: Sail
情報: p4009-ipbf504sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

初めまして、Sail、せいると読みます。
小説などと呼べないような拙い文の固まりですが、お暇な方はどうぞ。
ちなみに短編集の予定です。

******

彼は、旅人。
シンオウ地方という、小さな世界をめぐりめぐる旅人。
彼は、ユイ。
漢字では唯と表せるその名のように、唯一無二の活躍をした。
彼は、ポケモントレーナー。
ポケットモンスター・ポケモンと呼ばれる、不思議な生き物と共に生きる。

冒険に憧れるそこの君、
彼と、旅に出てみないか?

******

ポケモン図鑑の代わりにはならないが、ユイと旅を共にする仲間達を少しだけ紹介しよう。

アネックス(ディアルガ♂寄り)...
冷静な性格。背中ならぬ瞳で語る寡黙な男(?)。
意外にグルメ。率先して木の実栽培をし、ユクシー・エムリット・アグノムの力を借りて身長140cm体重42kgになり、ポフィンを作るユイの手を乗っ取る。

フォール(ドダイトス♀)...
無邪気な性格。明るさ、経験の多さからLvの高低問わず姉御と慕われる。
自然観察が好きで、子供達とパーティを作って探検しては不思議な場所を見つけてくる。

アリア(リオル♀)...
臆病な性格。ボールの中にずっといたため、外の世界をあまり知らない。
怖がりの泣き虫だが、周りを想う優しさも持ち合わせている。

カメック(ジュペッタ♂)...
暢気な性格。Lvは高いのだが精神年齢が低い。
口が開かない為、鼻で笛を吹き、鼻の振動によって声を出すという荒業を習得している。

アルト(ロゼリア♂)...
臆病な性格。ふだんは臆病さを隠す気丈さを見せる。
音楽が大好きで、街に行けばBGMに合わせ踊り出し、機嫌が良いと花弁の舞まで繰り出され、大怪我を負う仲間は多い。

ユクシー(ユクシー♀寄り)...
意地っ張りな性格。らしいが本人も他人もあまり気づいていない。
勉強が好きで、記憶が得意。某脳トレソフトでは常に郡を抜いた成績。

エムリット(エムリット♀寄り)...
おっとりした性格。上品さは欠片も無く自由奔放。
機関銃のような攻撃ならぬ口撃が得意。感情には鋭いが、肉体の変化にはかなり鈍い。

アグノム(アグノム♀寄り)...
控えめな性格。区切りの多い喋り方が特徴。
引っ込み思案というより、余計な事は言わないということを貫き通している。内心ユイに名前をつけて欲しいと思っている。

シルフィ(アブソル♀)...
寂しがりな性格。まだまだ皆に護られる子供達のひとり。
我慢強さと寂しがり、面白い二面性がある。夜に魅かれたか、眠れないことが多い。

クレセリア(クレセリア♀)...
勇敢な性格。そのおっとりとした風貌に似合わず、歯に衣着せぬ物言いが特徴。
フォールが姉御なら彼女は女帝。仲間の誰も優雅さと口の上手さでは敵わない。

ネスト(パチリス♂)...

ロキア(チルタリス♀)...
能天気な性格。主に捕獲・空飛び役。自称ユイの右腕。

テトラ(ボーマンダ♀)...
腕白な性格。身体を動かすのが大好き。

ヨミ(フローゼル♂)...
意地っ張りな性格。チキンが大好物。

チェリー(バシャーモ♀)...
暢気な性格。ヨミにしょっちゅう捌かれそうになる可哀想な子。

レグレット(ペラップ♂)...
メンテ

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Re: ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、( No.1 )

日時: 2006/10/27 22:57
名前: Sail
情報: p1014-ipbf606sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 そのポケモンは未だユイと口をきかない。


金剛色の優しさ


「アネックス」
 そう呼ばれたディアルガは、ユイの方をちらりと眺めやった。どうやら、自分がどう呼ばれているかは憶えているようだ。
 吸い込まれるような瞳。ユイより他の誰より、ずっと大きな。それは今、冷たさを湛えてただそこにある。
 そのくせ、背中で小さなポケモン達が遊んでいても何も言わずに黙っている。
 寡黙な性格なだけかも知れない。話すきっかけが掴めないのかも。けれども、まだ、心と心で通じ合えるほど長い時を過ごしていない。だから、少しだけ言葉が必要だとユイは思う。
 ユイがもう一度振り向くと、アネックスは姿勢を戻していた。
 遥か遠くにテンガン山が見える。空に一番近いと云われる山。己が目覚め、ユイと出逢った場所。彼の瞳には、どう映っているだろうか。
 北国の日没は早い。そろそろ、シンオウは茜色に染まるころだ。
 
「アリア、尻尾の方で遊ぶな! 落ちるぞ!」
 リオルを叱り付けておいて、アネックスと並んで空を見上げた。
 海に消える夕陽も綺麗だが、山が燃える色もユイや仲間達は好きだ。
「夕陽……アネックスは初めてだろ? ずっとボールの中だったもんな」
 眼が合う。黒い瞳、紅い瞳。黒は茜色の光を宿し、紅は大地に満ちる赤より濃く塗りつぶされたような。
「おれ達は、こんな景色をいっぱい見てきた。
アネックスは、ずっと眠ってたんだろ? だからさ、こんな綺麗な景色も見られないで、ずっと損だったじゃん。
な、明日は朝焼け見よう。2人だけで」
 ユイがやけに力説するのがおかしくて。
 アネックスの深い大きな瞳の奥に、小さな光が見えた。
 酷く小さくて、それはとても暖かで。

「わかった」


 ユイはずっと眠れなく、アネックスに叩き起こされたのは陽が高く昇ってからだった。
メンテ

Re: ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、( No.2 )

日時: 2006/10/28 21:19
名前: Sail
情報: p5134-ipbf209sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 美しい華は、美しい心に。


フラワー


 野生のムクバードが飛び出してくる。今にも突進をかましそうな勢い。
 ユイが指示を出す前に、彼女は行動を起こした。様子がおかしい。
「さわんないで、よ!!!」
 激しい鳴き声と共に、荒々しく舞うは無数の刃。葉っぱカッターが一瞬の隙も与えず、ムクバードに襲い掛かる。ほどなくして、ムクバードは倒れた。
 確かに強さの差はある、だが飛行タイプ相手に草タイプの技を使い、一撃で倒すとは。ユイの一番のパートナーの筈なのに、指示を聞かなかったのもおかしい。ましてや彼女は暴走などする性格じゃない。

 ポケモンの気配がしない場所にユイ達は腰を下ろした。彼女の回復を図る為にも。
「フォール……お前、おかしいぞ?」
 ユイがドダイトスの背に手をかけた。フォールはそれを激しく拒絶する。
「知らないってば!!」
 ステータスからは考えられないほどの素早さで、かつ慎重にフォールは最後尾に回る。戦闘、だけでなく身体に触れられることすら拒絶する。一体何が。
 フォールはどこか背を気にしているようだった。頻りに頸を動かし、背中を確認している。ユイもそれは気づいていたが、フォールより背が低いため背中に何があるかは分からずじまいだった。
 分かってやれない。ただ事じゃないのに。
 悔しさや、悲しさや、自分への怒り、ごちゃまぜになって鼻を襲う。ツーンとした痛みがユイを襲う。
 雨? 違う。塩辛い。パチリスは気づいた。
 見上げたユイがとめどなく零す、それを他の仲間達は涙と呼んでいた覚えがある。

「姉御、背中に何があるの」
「ロキア」
 唯一、フォールの背中を確認できるのは、飛行タイプであるチルタリスのロキアだけ。
 先程の拒絶を間近で見ていたからか、ふわふわと空中に浮かびフォールとはある程度距離を取っている。
「見たいなら慎重に飛んで……身体にさわらないでね」
 綿雲のようにゆったりとロキアはフォールの真上で滞空している。
 そして、見つけた。
「すてき……姉御はこれを……」

「ユイ!」
「ロキア?」
 てっきりどこかに行っていたものかと思っていた。ユイは慌てて涙を袖で拭く。
「分かった、姉御が暴走してたわけ」
 弾かれるようにユイは立ち上がった。濡れた瞳は期待でいっそうの輝きを帯びる。
「乗って」
 ロキアは空を飛ぶつもりか。フォールは近くにいる筈なのに。
「ロキア、しばらくはどこも……」
 どうやら街に行く気はないらしい。そのあまりにゆっくりとした飛び方に、ユイは口をつぐんだ。
「背中の樹の中、よーーーーーく見て」

 華ひとひら。

 すぐに散りそうな環境で、懸命に咲く華ひとひら。

 どこに咲く華より、それは綺麗。

「フォールはこれを守ろうとして……」
「今朝、テトラに言われて気づいたって……」
 毎朝飛行訓練をしているボーマンダなら、気づかない筈は無い。
 考えればロキアは、彼女と入れ替わりで入ったのだ。

「綺麗だね、背中の華」
 ユイの言葉に、フォールが、フォールの華が、いっそう輝いた気がした。
メンテ

Re: ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、( No.3 )

日時: 2006/10/31 16:04
名前: Sail
情報: p4167-ipbf502sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 レベルアップした日、違う。新しい技を覚えた日、違う。進化した日、、、それも違う。


ひとつ、強くなった日


 相手はだいぶ疲れている。止めを刺すチャンスだ。
「アリア、止め! 電光石火!」
 リオルの身体が硬直した。直ぐに指示を行動に移す。残像を残す速さで移動し、相手に体当たりをかます。
 アリアの電光石火は速い。それはどこか、何かを振り切るような速さで。
 砂と土の擦れる音。影が後ろへ滑り、倒れたのが分かった。
「あ…………」
 搾り出すような、苦しげな声色。アリアの眼は大きく見開かれている。
「たお……しちゃった?」
「ああ、アリアの初勝利だ!」
 ユイが嬉しそうに言う間にも、仲間達は総出でバーベキューの準備をしている。
 今日はキャンプになるだろうことをアネックスが見通していた。

「材料、これでいいかー?」
「カルビ、タン塩、ホルモン、その他、野菜もあるな、十分。
じゃヨミ、あとは焼き鳥を……」
「ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! アネックス、冗談に聴こえない!」
「誰か火ぃ起こして! チェリー、大文字!」
「止めて止めて! 炎上してる!! それにしても暑いね……って、
あたしに引火してる?! ヨミ、なにチェリー斬ろうとしてるの、やめなさい! そんでこっちに向けて波乗り!」
「ちょっとー!! 姉御、バーベキューの材料流されちゃったじゃないのよ!!」
「あぁロキア、大丈夫。鶏いるし。なぁチェリー?」
「ぎぃぃぃぃぃぃやああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 騒ぎを尻目に、アリアは頭を抱え震えだした。
「どうした? みんなうるさいか? いつものことだよ」
 アリアは首を横に振る。だが膝をついて震えだすものだから、ユイの心配ゲージは上がっていく。
「ちがうの……あたしが、ポケモン、ころしちゃったから……」
 バーベキューの準備をする5匹の動きが止まった。
「どうしよう……ビッパさん、あたしのせいで……」
 大きな眼から涙がぼろぼろ零れている。5匹は一斉にアリアの元へ駆け寄った。

「アリア、殺したわけじゃないのよ……戦う元気をなくさせてしまっただけ」
「ロキア、でも……あたしが、ビッパさんいっぱい傷つけて……」
「俺達も同じことしてるんだからだいじょーぶだって!」
「なんて事言うのヨミッ!! バーベキュー抜くわよ!」
「すみませんロキア様もう二度と致しません」
「それと、ポケモンを倒さなきゃうちらも強くなれないし、先へ進めないからね」
「でもチェリー。アネックスやヨミみたいに、ユイがつかまえて、なかよくなれば……」
「それが出来ればいいけど……アリア、おれだけの力じゃ無理だよ」
「ユイ……」
「…………アリアは優しいな」
「……アネックス」
「ポケモンは傷ついてしまっても、自分の力でいつかは元気になるものだ。
ユイは擦り傷をいっぱい作る。私達も、戦えば傷つく。
だが、いつかは必ず治っているだろう?」
「でもビッパさんは……くすりもないし、ポケモンセンター、いけないよ……」
「だから、木の実があったり、私……時間の力がある。
私達と同じ様に、木の実を食べて元気になるし、時間をかければ傷も治る。
気にしないことだ」
「うん……でも、やっぱり、こわいよ……」
「それはあたし達だって同じよ。強いポケモンが現れればやっぱり怖いわ。
けれどね……
ユイが喜んでくれる。あたしも強くなれる。みんなも強くできる。
それだけで、少しだけ、怖くなくなるよ」
「姉御……あたしも、そうなれるかな……」
「なれるさ。アリアなら。皆がいる。おれもいるから」
「ユイ……姉御……ロキア……ヨミ……アネックス……チェリー……」

 アリアが見回すたびに、それぞれが頷く。
 最後にアリアは大きく頷き、不器用に笑んだ。

「あたし、がんばるから!」

 涙はもう乾いてる。
メンテ

ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路( No.4 )

日時: 2006/11/05 15:39
名前: Sail
情報: p1237-ipbf306sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 その戦いを知る者は、広がる樹海だけ。


仁義無き戦いなんです


 青いビードロ、という道具を知っているだろうか。吹くとポケモンの眠りを回復する道具である。
 ユイが朝に弱いため、一番早く起きたポケモンがビードロを吹き、手持ちのポケモンを起こして回るのだ。

 だが、今日はメンツが悪かった。
「カメック、ビードロはオイラが吹くっ!!」
「アルトなんか草笛でもう一日眠らせちまうくせに〜!」
「おまえだってゴーストタイプだから笛なんか持てないくせにっ!」
「関係ないよ〜だ! ほれほれ、ちゃんと持ってるぞ〜?」
 特性が不眠のジュペッタ。草ポケモンの所為か朝は早いロゼリア。
 同時にユイのバッグに手を掛けた二匹。青いビードロをめぐり、仁義無き戦いが始まろうとしていた。 ……黄色や赤のビードロでは駄目なのか?
「駄目ッ、オイラそんとき手持ちにいないかも知れないからっ!」

「あったまきたぞっ! 吸い取るっ!!」
 とうとう実力行使に出たようだった。アルトはカメックの手にあるビードロを引き寄せる。
 アルトは手の薔薇で器用にビードロを支え、口元に持っていく。
「待ったぁ! サイコキネシス〜〜〜ッ!!」
「あぎゃあ!!!」
 ビードロを奪い、毒タイプのアルトに効果は抜群だ……。地面に突っ伏しているアルトを尻目に、カメックがビードロを持ち、息を吸った。
「カメックなんかおねんねしちゃえ〜っ!!」
 アルトは地面に寝っ転がったまま、痺れ粉を放つ。カメックに命中し、カメックは痺れ、七転八倒していた。
 ビードロがカメックの手を離れた。地面に落ちる。
 痛手を負い立てないが、アルトは根を張ってナゾノクサの図鑑説明の如く動き、ビードロを手にした。
 息を吸い、口元に当て、
「まだまだ〜〜〜っ!!」
 カメックは痺れたまま、アルトのビードロを差し押さえた。そのまま横取り。
 ビードロを折れそうなぐらいしっかりと握り、大〜きく息を吸い、鼻で一音目を吹――
「まだまだまだっっっっ!!!」
 カメックに綿胞子がまとわりつく。身体中を覆い、身動きが取れない。
 またもカメックはビードロを取り落とした。地面に転がる。
「チャーーーーーーンスっ!!」
 アルトは根でビードロの元へまっしぐら――

「あ、ビードロ。ユイがなくなったって大騒ぎしてた」

「「チェリー!!」」
「手を出すな! これはオイラたちの問題だ!」
「ってかなんでチェリーが起きてんだよ〜?!」
 チェリーはビードロを拾い、埃を払い、こともなげに言った。
「うちら? レグレットが起こしてくれたんだよ。ハイパーボイスで。若干目覚めは悪かったけどねぇ……」
 カメックはアルトを起こし、駆け出した。

「なーにー、カメック、アルト、そんな怖い顔して」
「「八つ当たり〜〜〜〜っっっっ!!!!!!」」
メンテ

ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路( No.5 )

日時: 2006/11/08 12:18
名前: Sail
情報: p3244-ipbf209sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 不器用な男の愛情は、美味しいポフィンで伝えよう。


ポフィンサンデー


 ここはポフィンハウス。トレーナーが集い、共に料理の腕を発揮する場所。には明らかに不釣合いな4匹のポケモンが器用にポフィンを作っている。人間達は微笑ましいとでも思っているのか、笑いながら何も言わない。
「ん?」
 こつん、と脚に何かが当たった。人間ではないはず、今は人間サイズになっている。エムリットが尻尾でポフィンを掻き混ぜているのは放っておくことにし、アネックスは下を見やった。
「かっ、かわいい……!!」
 アネックスが口を開くより先に、アグノムが声を上げた。アグノムが抱き上げたのは――ピンプク。きらきらと輝く好奇の瞳をアグノムに放っている。やはり見慣れないポケモンだというのは分かるのだろう。
「アグノム、知り合い?」
 こちらに気づいたユクシーが寄ってくる。アグノムは首を振った。
「違うわ。気がついたら、ここに……」
「アタシ達の作るエクセレントなポフィンの匂いにつられて来たんじゃない? ここらへん、コンテストとかふれあい広場でポケモンも多いし」
 エムリットも気づいたようで、踊る尻尾にチラチラ眼をやりながらこちらに応える。
「さーあピンプクちゃん、もうすぐ完成だからねー」
 いよいよ尻尾は情熱的に舞い踊る。それにつられてエムリットも高速スピンされ……
「出来たな」
 ポフィンハウスが回ってるーと奇声を発し始めたエムリットをユクシーに預け、アネックスが取り出したのは真っ赤なポフィン。
「辛いポフィンか……」
「46秒前かしら、エムリットはフィラの実を入れてたわ」
 未だアグノムに抱きかかえられているピンプク。ポフィンを見てきゃっきゃと喜んでいる。
「辛い味、大丈夫かなぁ……アネックス、ユクシーが全部の味の実持ってるから、ひと通りの味、作ってみて」
 ピンプクとポフィンを見比べながら、若干心配そうにアグノムは言った。こんな可愛いピンプクに辛い味は似合わない、とでも言いたげな。
 それを見透かしたか、アネックスはマゴの実をそっと鍋に入れた。

 ポフィンは完成。だが、いざポフィンをあげるとなると、アネックスは硬直した。
 己の性格を知る仲間達ならともかく、元々子供とはあまり接しない。背中で遊んでいるだけで、話しかけたことは殆ど無い。
 狼狽するアネックス。ただでさえ強面なのに、複雑な面持ちを加えられ、ピンプクが泣き出しそうになる。
「アネックス! ピンプクちゃん、泣かせちゃダメ!」
 アグノムが珍しく強い口調を発する。ユクシーも頷いている。
「ポフィンには作った人の愛情がこもっているのよ! それを、アンタが直接あげることで、ピンプクちゃんは初めて愛情を感じられるのよ! アンタのポフィンには愛情と情熱はこもってないの?!」
 復活したエムリットも激しく説教。下手をすれば修羅場に発展しそうな雰囲気に、とうとうピンプクの涙腺が押し潰された。
「ふえぇ、えーん……」
「ピンプクちゃん、大丈夫よ大丈夫、お姉さん達は大丈夫だからねー」
 感情の変化には鋭いエムリットが寄り、ピンプクを慰め始めた。アグノムの冷たい視線が当たる。
「分かった……」
 至極小さな声だったが、ユクシーは聞き逃さなかった。
「『おにいちゃんがポフィンあげますよー』って、さっきトレーナーが言っていたわ。アネックスもそんな風に……」
「……………………」
 アネックスは再び狼狽。今度は3匹の冷たい視線をまともに浴びる。
 とうとうアネックスは腹を括ったようだ。ピンプクに1歩近づき、甘いポフィンを見せる。
「おおおおにいちゃんがが、ぽぽぽポフィン、ああげますよー」
 絞り出した声は緊張で裏返っていた。だが、ピンプクはアグノムの手を離れ、近づいてくる。
 アネックスが器用に前足に乗せたポフィンを、ピンプクは一口で食べた。満面の笑み。

「おじちゃんありがと!」

「おじちゃん……」
「おじちゃん……!」
「おじちゃん……!!」
 ユクシー、続けてアグノム、エムリットが連呼し、腹を抱えて笑い出した。
 3匹を無視し、アネックスはピンプクをそっと背中に乗せてやる。あったかい。


 トレーナーが呼ぶ声が、聴こえ始めた。
メンテ

Re: ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路( No.6 )

日時: 2006/11/08 20:20
名前: ファリス ◆gLn2em60IQ
情報: p3123-ipbfp905fukuokachu.fukuoka.ocn.ne.jp

どうも、ファリスです。

〜感想〜
面白いです。
なんだか、ポケモンの個性?がいろいろあって、楽しいです。
特に、ポフィンサンデーと、一つ強くなった日のバーベキューの風景が面白かったです。やっぱり、ディアルガはおじちゃんですか。。。
ではでは、これからもがんばってください。
メンテ

ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路( No.7 )

日時: 2006/11/09 15:03
名前: Sail
情報: p4184-ipbf801sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

>>ファリス様
初めまして、宜しくお願いします。

あぁ勿体無いお言葉……有難う御座います。
いろいろなポケモンを軸にしていろいろなポケモンを書いていきたいなと思ってるんで、もっともっと個性が欲しい所なんですが…
バーベキューとエムリットの立ち回りは自分で書いてて爆笑してたので、面白いと言って頂けると嬉しいです。
ちなみにおじちゃんじゃないです、設定では三十路手前です^;
マイペースに頑張っていきます、感想有難う御座いました!
メンテ

ソーダのように刺激的で、純水のように緩やかな、ぼくらの旅路( No.8 )

日時: 2006/11/20 16:39
名前: Sail
情報: p4009-ipbf504sapodori.hokkaido.ocn.ne.jp

 乙女よ、ふたりの恋路を邪魔せよ!


深夜の密会


 輝く月も、今日は闇の中で夢を見る。けれどあたしは眠れない。そんな夜は、星を眺める。
 みんなで星を見ようって約束したけど、たまには空を独り占め。だから、少しだけ約束はおあずけ。フォールはそっとテントを抜け出した。
 がさり、と草が揺れる。この音は風の音じゃない。
「誰?!」
 押し殺して、だが警戒をあらわにして。聞き慣れぬその声に酷く怯えたか、音の主が姿を現した。
「シルフィ? ……ごめんね。どうしたの」
「寝れないの……姉御は」
「あたしも寝れないのよ」
 アブソルの白い身体は、深夜にはよく見える。ずっと小さいその身体、フォールには愛おしい。誰だって、寝れない夜がある。それなら、寄り添って空に夢を見よう。
「星、見ようか。みんなには内緒よ」
「うん」
 寂しがりのシルフィのことだ、ひとりで眠れないというのはかなりのダメージだっただろう。満天の星空は、どんな想いも丸ごと包み込んでくれるような気がした。

 がさり、と草が揺れる。この音は風の音じゃない。加えて、シルフィの時よりも大きい。
 ユイか、野生のポケモンか……フォールは身構えた。
「姉御、待って……ユイだ、この声」
 シルフィが角で指す先には――ユイ。近くにも誰か居る。だが、フォールはあまり夜目が利かない。
「シルフィ、ユイと一緒に居るの誰か分かる?」
 この辺りからヒソヒソ話になってくる。抜け出したと分かったらユイに怒られる、そしてユイはこんな夜中に何をしているのかという好奇心があるのだろう。
「……うーん……たぶん、クレセリア」
「クレセリア……? ユイに何の用かしら」
 2匹は顔を見合わせた。頷き、聞き耳を立てる。好奇心に加え、盗み聞きモードのスイッチが入ったらもう止まらない。

 クレセリアは幾分苛立っている。ユイは眼を逸らし、どこか決まり悪そうに突っ立っている。
「私との約束、忘れたわけじゃないでしょう?」
「ああ…………」
「いつになったらしてくれるの?」
「ごめん……まだ、しばらく出来そうにない」
「な……!! 私はもう我慢できないの!」
「我慢出来ないなら……アネックスに……てもらえばいいじゃないか」
「違うの! 誰でもない、ユイがいいの……!!」

「クレセリアってあんなに大胆だったっけ……」
「シルフィ……シャドーボールの用意をしておきなさい」
「え? でもユイとクレセリアが……」
「あたしが何とかするわ」
 葉っぱカッターを構えたフォールは、静かながらも怒気に満ちていた。

「仕方ないか……明日な」
「そう……楽しみにして「シルフィ! シャドーボール!!」
 フォールが高らかに叫ぶ。シルフィが放ったシャドーボールは、ユイが庇うのも間に合わず、クレセリアに命中した。効果は抜群だ。
「クレセリア!!
シルフィ……?! 何をした!!」
 ユイのその声だけで、2匹を震え上がらせるには十分だった。葉っぱカッターを出そうとしたフォールがすくみ上がった。
「姉御……」
「シルフィは待ってて」
 出て行こうとしたシルフィを制して、フォールは歩を進めた。

「シルフィじゃないわ、あたしよ。聴こえなかった?」
 フォールが姿を現した。ユイはただ呆然としている。まさかフォールがシルフィを使って、クレセリアを襲わせるなど。
「フォール!! お前はそんな奴だったのか?!」
 激昂するユイとは逆に、フォールは落ち着いてきたようだった。
「……そうよ。勝手にあたし達が盗み聞きして、勝手にあたしが嫉妬して、クレセリアに効果抜群のシャドーボールをシルフィに使わせたのよ!!」
 黙っていたクレセリアは、そこでピンときた。女のカンだ。
「フォール……私達は、そんなんじゃないわ。そう聴こえたかも知れないけど」
「じゃあ何なの……」
「約束っていうのは、ポフィンを作ってくれるってこと。この前ユイがくれたポフィン、美味しかったのよね」
「………………」
「ユイ、どうしてくれるのかしら?」
 妖艶、ある意味で恐ろしいクレセリアの声が降って来る。

 翌日、シルフィは寝不足で寝込み、フォールはボールから一日出てくることは無かった。
メンテ

6149KE( No.9 )

日時: 2007/08/18 08:53
名前: Eiffel  <vcv04b@gmail.com>
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日時: 2007/08/20 02:58
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見ちゃだめ( No.11 )

日時: 2012/05/04 10:27
名前: age
参照: http://e29.mobi/
情報: 168.241.240.49.ap.yournet.ne.jp

挿入できるよ(´-ω-)★ http://ktjg.net
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風俗体験( No.12 )

日時: 2012/09/04 17:49
名前: 美智
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