alt 契る愛【千切る愛】 ( No.6 )

日時: 2006/10/06 18:58
名前: 赤山なん

例えば、そこに一人の女の子が居たとする。
その子は、過去の体験が影響したのか、親の教育が影響したのか、
もしくはその女の子自信がそう有りたいと願ったのか分からないけど、
つんつんした女の子になった。
ヘサい男子には興味を示さない、そんな性格になった。
名前を、新堂美由紀という。
例えばその子が、クールな女の子に出会ったとすればどうなるだろうか。
両方が、必然的に会話を交わさなければならない場面に遭遇したら、二人の会話はどう発展するのか。
それがもし初対面の場面だとしたら。

そういった場面が今ここで展開される。

「新入生の、相澤 志保と言います。よろしくお願いします」

美由紀が部室のドアを閉めたと同時に、志保がクールにそう言い放つ。
笑顔無し。冷静な態度だった。挨拶の相手が気弱なら、少々たじろぐかもしれない。
美少女だから威力倍増。

「……二回生新堂美由紀。よろしく」

美由紀はあくまでしれっとした態度で答えた。
つんつんとした態度。それだ。挨拶の相手が臆病なら、少したじろぐかもしれない。
美少女だから、こちらも威力倍増と相成る。

「…………」
「…………」

こうなる。二人が出会うとこうなる。似たような性格の人間同士が接触すると、こんな感じ。

取り分け特徴があるわけでもない、最低限の会話で終わる。
初対面の二人だから、ある意味当然なのかもしれないが。
だがこの二人、やはり馴染み合うには少々時間が必要なのかもしれない。
これを見たならまずそう思う人間が大半だろう。
美由紀はなんとなく、我那覇 良のことを考えた。アイツがこの子が入部するのを
知ったなら、なんの裏もなく悦ぶことだろうな、と。


     +++

「うぃーす、お!」

……ドアを開けて颯爽と登場した良のリアクションは美由紀の予想通りだった。
本人は平然を保って、ひたすら冷静を守っており、新入生の女の子に興味を示さないそぶりをしている。
だけど、その場にいるめんつ(新入生除く)は、だいたいの良の性格を理解している以上こう思っただろう。
あまりにも分かりやすい事だ。今こうしているうちにも、どうやって新入生と仲良くなろうと
くるくると策を練ってるはずだ、我那覇は、と。
んー、あの子好みだな、あの子可愛いな、と考えている、と。

「新入生の相澤 志保です。よろしく」
「新入生の×××××です……───」

新入生は一斉に自己紹介を始める。何にしたって人付き合いのいい良は、
人からの話をないがしろにしてしまうことはない。
はは、よろしく。俺の名前は────気楽にそう言う良だった。

  +++

この中にはひたすら音楽一直線に頑張ってる新入生も沢山いるんだろうな。
などと戯言めいたことを考えながら、良は行動を起こす。

「なぁ、新堂」

今はまだ来ていない部員を待ちながら、良は美由紀に話かけた。
……良が美由紀に話しかける。無謀というほどの行為でもないが……。

「……なに?」

相変わらず、美由紀はクールな反応を示した。
美由紀と良のキャラがリンクしていない以上、双方の対応に温度差があるのはある意味仕方ないことでもある。
最悪の場合、美由紀がスルーしてしまうことだって有り得るのかもしれない。

「……んー、オレら今から演奏する時間迫ってるのに、我らがヴォーカルはどこいったんだ?」
「勧誘辺りでしょ」
「あぁー……うん、でも遅すぎじゃね?」
「さぁ……? どうなんでしょうね」

しれっとしている。
この表現がまさにぴったりである。

ともかく部員達は、真央の登場を待つことにした。











=======

あとがき。

むずいわ!(死)
まぁそれはちょっとした遊び心を5つ仕組んだことが
一つの原因だったりしますけど。

全キャラ一通り出揃った中、ストーリーがどう進むかご期待下さい。

えとー、誤字脱字等あれば連絡頂けると嬉しいです。
感想がもらえると喜ばしいです。

また矛盾等あればご注意いただけると嬉しいです。
なんとか無いように気をつけてますが・・・>参加者一同。

それではひめ、次の回よろしく(
 
メンテ

alt あなたを嫌ったり、喧嘩するつもりは無いのですが。 ( No.7 )

日時: 2006/10/06 19:37
名前: 桜姫りる
参照: http://o6c6o.blog.shinobi.jp/



(……不思議な人。むしろ変)

 志保がそう思って見つめる先は、何と不敵なことに美由紀だった。
 先程の挨拶で普段通りの態度を取ったつもりな志保なのだが、実はそれが癪に障ったのだ。

 こちらが視線を泳がせている最中に目が合っても、フイッと目を逸らす。
 可笑しい人だと首を傾げて志保が見つめると、今度は目を合わせて睨みつけてくる。
 どうやら初対面にして嫌われているらしい。
 それだけ分かると、志保は目を伏せた。
 決して嫌われてしまったからではなく、嫌われていることからの態度だと分かったからである。

 次に目を開いたときには、美由紀は不機嫌そうにそっぽを向いていた。


 そんなことをしている内に、部室のドアがばんっと開かれた。

「ただいまあっ!」

 真央がドアと同じくらい勢い良く、部室にやってきた。
 その後ろには長身の男。見慣れない顔からして、新入生だろう。

「あ……っ、初めまして。日下 圭介って言います。その、よろしくお願いします」

 つっかえつっかえ言う決まり文句。
 それに対し、多少の苛立ちを交えて、

「二回生新堂美由紀。よろしく」

 と、棒読みと言っても過言ではないくらいのイントネーションの無い決まり文句を返した。
 刺々しい美由紀の態度に圭介は焦っていたが、「いつもこう」という真央の言葉を聞いてホッと息をついた。

 しかし。

 もう一人問題の人物が居た。
 言わずとも分かるだろうが志保である。
 ツンツンともしていない、無感動で興味皆無、更に感情の波が感じられない、そんな人物だった。

 ちらっと真央を見たが、助け舟は送られてこなかった。

(俺、このメンツでやっていけるのか……?)

 期待と不安。
 レベルの低い言い方だが、心臓が張り裂けそうな圭介だった。


 **あとがき**

 志保の具体的説明と、美由紀と志保の立場を重視したあまりに本編が進まなかったorz
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!
 とりあえず、メンバーは全員そろったので新入生歓迎会、次の方ドウゾ!

 さて逃げっ♪

メンテ

alt 音楽なんて所詮ただの嗜好なんだからさ ( No.8 )

日時: 2007/03/30 09:44
名前: 和尚 ◆ZbYYEnDztE  <shoutbravo@hotmail.co.jp>
参照: http://d.hatena.ne.jp/mach-3-wheeler/

 どうも、日下圭介です。
 いきなりで悪いのだが、俺の前では予想を当社比で230%上回るテクニックでの、軽音楽部新入生歓迎ライブなんてものが行なわれている。
 挨拶もそこそこに始まった軽快なアップテンポの一曲目、ドラムのリズム感で聴かせるミディアムテンポの二曲目、そして俺を連れてきた元気印の――真央先輩、が意外にもしっとりと歌いあげるバラードの三曲目もそろそろ終わりに近づいた頃だ。

 気付くと体が自然にリズムをとっていた。
 メタルとアニソンでIpodの再生履歴が埋め尽くされている俺にも、なぜかすんなりと馴染むメロディー。あとでどこのバンドの曲なのか聞いておこう。いや、ひょっとしてオリジナルか?
 ボーカルがひときわ高い最後のサビを歌い終えた。少し遅れてぱちぱちぱち、という音が周りから巻き起こる。しまった、拍手するの忘れた――第一印象悪くしたかな。最悪だ。

 ふと、マイクを弄ぶ真央先輩と目が合った気がした。急いで下を向く。慣れてない。
 顔を下げてから「別に俺のことを見てなかったんじゃないか? 挙動不審だよな俺」みたいな自虐ネタが頭に浮かんできたが、ネタで笑い飛ばせるわけもなく赤面。あー、最悪だ。

 暫くバレてないつもりで赤面していると、隣の新入生(女の子)がマイクを渡してきた。え? 俺歌うの?
「自己紹介」
 うわ思い切りクールに返されたんですけど。怖ッ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。今の俺の顔、絶対気持ち悪いぜ。それはいつもか。
「えーと――く、日下圭介です。えーと、その、好きなバンドですか? あぁえっと、Detroitとか、その、Highlanderとか、そういうのが好きです――最近はブラジリアンメタルにも手を出してるんですけど、とにかくそういうのです」
 あー最悪だ。完全に挙動不審じゃないか。ええい落ち着け俺。
 先輩方は「意外だなぁ」って反応のようだ。そうですキモメンだけどメタル好きですHR好きです悪いですかー。心の叫びが今日はやけに多いな。最悪だ。
 場の空気をほどよく凍らせてから、マイクを先輩に返した。

 ええと、うまくやっていけるんでしょうか俺。ところでいまんとこアニヲタってのは隠せてるんだよな? 
 ああ、最悪だ。





・あとがき
日下君大好き
あとこれが恋愛小説なのを忘れてたのは俺だけでしょうか。
メンテ

alt 彼女はねこじゃらし ( No.9 )

日時: 2006/10/23 07:26
名前: クリス

 軽音楽部には容姿端麗な人材が少なくもない。
 部の掲げたものが軽音楽である事についての因果は定かではない。
 ステージに上がって個人個人がスポットライトを浴びるのだから、見てくれを誰もが気にするからかもしれない。
 もしかしたら、軽々しい軟派な人間が楽器を始めてみただけかもしれない(否定したいところだが、残念ながら我那覇 良が当てはまったりする)。

 結局は推論の域を出ない。
 ただ一つ確かな事は、美な異性の存在は誰にとっても保養なわけである。
 そんな恵まれている軽音楽部の特に名物な者達の話なのだが、少し込み入った事情になっていたりする。

 去年からの一年間、軽音楽部において上級同級(当然、その一人に良が当てはまったりするのだが)から攻略不可能とまで囁かれた二人がいた。

 新堂美由紀。
 その鋭い瞳に強気な態度は、例外なく他人の好意にも甘えない。
 本人にその意識があるのかは知らないが、全くもって寄せ付けないという一点張りなのだ。
 当たって砕けろと見事に爆砕した事例もあったという風の噂。
 とにかく、余程ぞっこんにならない限り、彼女と接している内に熱は覚め諦めた事だろう。

 楠真央。
 誰にでも優しく人付き合いが良い。素直で聞き分けも良い。何より底抜けに明るく、知ってか知らずか自ら好感を振り撒くアイドル的な新入生だった。
 ……ここまでは良かったのだが、そうは問屋が卸さない。
 口説きの空気に対してわざとやっているのか、はたまた偶然なのか、言葉巧みと場を操ってあと一歩を迫らせてくれない。
 実際、昨年は新入生であるにも関わらず、真央がいる時の部内の空気は彼女が掌握していたりする。

 それさえ無ければ充実したキャンパスライフを送れただろう彼女らが、なぜ「突っぱね」たり「逃げ回る」必要があるのか、その勿体無さは誰も紐解けない。
 考えてる事が良くわからない、誰々と秘密裏に付き合ってる、なんて憶測が部内で良く論議になったものだった。

 ところで、この二人同士の間柄は一体どうなのか。
 特別会談 新堂美由紀 対 楠真央。
 その一部始終を覗いてみるとしよう。


 *  *  *


 四月十四日、PM八時。
 とあるファミレスにて。
 新堂 美由紀、楠 真央、我那覇 良、他数名。

「お疲れ様〜!」

 真央がその打ち上げの始まりを宣言した。
 と言っても、部単位の形式ばった打ち上げではなく、現二年達が集まっての食事といったものである。

 さて、肝心な真央と美由紀は机を挟んで対面状態。
 良は美由紀の隣で飲み物片手に満更でもないようだ。

「新入生が入ってくるのは緊張したけど、何とか面子は保てたな」と良。
「あれで緊張してたの?」と美由紀。
「まぁまぁ、結果オーライ」と一人置いて。
「そうだね。新入生も結構来てくれたし、良かったー」と真央。

 なんてことはなく打ち上げは進む。
 真央は場の空気を明るく保ち続けている。
 美由紀は話に耳を傾けつつ、自分のペースで食事に手をつける、といった感じ。
 良が気を遣ってるようにドリンクバーへ皆の分も取りに行く。

 口火を切ったのは真央だった。

「ねぇ、みゆちん」

 大胆不敵にも美由紀のことを、真央はみゆちんと呼ぶ。
 他の誰かが真似しようものなら即死しかねないほどの強烈なあだ名だ。
 経緯はまたの機会にするとして。

「新入生の子達、どう思った?」

 なんで私を名指しにしたんだろう、と美由紀は不審に思った。
 真央のニコニコ顔を見てみるが、何を考えているかは全く読み取れない。
 仕方ないので目線を落とした。ボンゴレのパスタはもう綺麗に無くなっている。

「志保って子、私に似てる」

 美由紀は細々と呟いた。
 良がドリンクバーから帰って来る。
 それぞれに手渡して、それから良は他数名に別の話題を振ったのだった。
 もしかしたら真央と美由紀の二人にしてくれたのかもしれない。

「志保ちゃんは良い子に見えたけど。そうだね、しっかりしてそうなとことか、みゆちんに似てるのかも」
「さぁ……けど同属嫌悪ってヤツかなぁ……」

 同属嫌悪。
 たまたまその人間が気に食わないと、不満がそのまま己に帰って来る。
 あるいは自分を見ているようでそれが耐えられないのかもしれない。
 虫唾が走る。といったところの言葉だ。

「まぁ、私だって無理矢理仲悪くしようとは思わないけどね」

 真央はしっかりと聞き届ける。
 いい加減な立場をしているようで、実は寛容だからこそなのだ。

「イヤよイヤよも好きの内ってね」
「そうかなぁ。後、圭介って子なんだけど」
「うん、日下君ね。あの子は世話焼けるなぁ。新歓前で道に迷ってるなんて……真央さんの手を煩わせるのもいいとこなんだからっ」

 面倒そうな言い回しをしておきながら、真央はちっともその顔をしていない。
 むしろ楽しそうに、跳ねを持つショートヘアを触り遊んでいた。
 こちらもシーフードドリアは無くなっていて、まるでデザートを待つ子供のようだ。

「真央もそう思ったのね。まぁ……あのファッションセンスはどうにかしてほしいかも、ね」

 美由紀はげんなりとした口ぶりで言った。
 他人のセンスをためらいなく酷評するのはさすが美由紀といったところか。

 真央の唇が、にっと上がった。

「あれ、みゆちんも人を心配することあるんだね」

 ちく、とくすぐるような言葉が美由紀に刺さる。
 嫌なわけじゃないが歯痒い。
 何より、真央ほど過度に新入生へ情けを掛けようとは思っていない。

「心配じゃなくて、正直な感想だよ?」
「はーいはい」

 真央は華麗にスルー。
 ついさっきまで幼い姿を見せていたのに、いつの間にか美由紀が子供のようにいなされていた。

 そう、何を隠そう楠真央と新堂美由紀の間柄。
 真央は美由紀をからかうのが好きなのだ。
 よりによって触れば刺さるような美由紀を。

「え、本当だってば」
「だからはいはいって言ってるじゃん、何をマジになっちゃってるのかなみゆち〜ん♪」

 喋れば喋るほど深く掘り下げられてしまう。
 真央の話術の脅威だと、美由紀は飲み物のストローを無意識に噛み締めた。

「何もマジになってないってば」

 気付けば声が大きくなっている。
 美由紀はそっと見回すとどうやら周囲の騒がしさで掻き消されていたようだった。
 と、真央は楽しそうにこちらを見ている。
 ニヤニヤではなく心からのニコニコなので、美由紀もその笑顔を壊すのには気が引けた。
 反則だと思う。
 こうして美由紀を言い包められるのも、真央の人間性と言葉巧みさが併さっての離れ業だろう。

「それはそうと、今年もクセのある新入生が少なくないみたいね」

 今年も、という継続表現は自分自身や真央や良への皮肉だったりする。

「だねぇ、なんか楽しそうじゃない?」
「うん。……本当に退屈しなさそう」
「やっぱそう思う? じゃあ           」

 続く言葉によって美由紀がさらなる厄介に巻き込まれるのは言うまでもなかった。



*後書き*

…………………………………………間に合った。
わざと余韻を残して次に託してみました。
三順目をまた顔合わせ的な物にするか、一コマ単独のシーンを設けるかはまた話し合いましょう。
じゃ、さっさと大学に行ってきます。
メンテ