alt Re: ダコタ・ハウス ( No.24 )

日時: 2007/08/21 19:21
名前: akayamanann

その頃。 

圭介は食堂にいた。「日下圭介の憂鬱」という、もし今の彼の姿を小説にしたならばおそらくそのような
 タイトルが与えられるであろう格好で、隅っこの席で食事していた。
 牛丼と蓮根サラダ。しめて600円。大学生の圭介にはありがたい価格である。
 しかもこれがなかなかの美味……だったはずだが、生憎そんな物を味わってなどいられないシチュエーションに、彼は堕ちて行った。
 我那覇であれば、心の中で喜ぶようなシチュエーションへ。

(め……目の前に相澤が……)

 というわけである。
 目の前、一応目の前ではあるのだが、志保が向いているのは圭介と同じ方角、つまり圭介は志保の後頭部を見ているだけで
 (あるいはその罪悪感に駆られ)緊張し、緊迫し、食べ物を味わうことを忘れてしまっているのだ。
 女性慣れしてないというか、志保を意識しすぎているのかもしれない。
 ましてや圭介は元オタクなのだ。オタクと言えばギャルゲもしていただろう。ギャルゲをしていたといえば
 ギャルゲにおける王道展開というものも理解しているだろう。理解しているなら今の自分と志保との関係がそれのように思うだろう。
 女性慣れしてないという問題もあるが、それもあるかもしれない。
 特別視という、ベクトル。

(……そういえば相澤も、一人でメシ食うんだな)

 友達がいないということはまず有り得ないだろうし(男友達はどうかという話だが)
 まぁ、単独行動のほうが好きなのかもしれない、と、圭介は思った。志保の後頭部を見ながら。
 と、その時。
 相澤志保が、こちらを見た。

(……!!)

 目線が合う。もうこれ以上なく確実に、完全に、歴然と。
 と、同時に、圭介の体に戦慄が走る。やべぇ、ガン見してると思われてる! 俺ヤバス。
 事実ずっと凝視していたのだ、もしこれで志保が「何見てるのよ」などと言い出せば、圭介は女子の後姿を
 まじまじと見ているような人間だと思われてしまいかねない。っていうかまじまじと見ていたのも事実だ。
 下心から来た注目だったとしても、それを志保が納得してくれるとは思えない。

「…………」
「…………」
 
 両者の間に沈黙が走る。そして圭介が、怯えきった声で言い出す。

「ぁ……」

 しかし、そう言うと同時に、志保はまた振り返ってしまい、再び圭介の視点から見えるのは志保の
 後ろ姿だけになってしまった。圭介は思考する。

(……やっちまったぁぁ!!)

 そんな女性慣れしてないいたいけな男子特有の「嫌われたかも」的不安にかられながら。
メンテ

alt ハッピーエンド? ( No.26 )

日時: 2007/12/02 21:58
名前: 桜姫りる


 日下圭介という人物によく会う日なのだなぁ、と志保はぼんやり思った。
 けれどそれだけだった。

 別に彼が自分の後頭部を見つめていようがそれで何か妄想してようが、彼女にとってはどうでもいいことなのだ。


 ぱくり、とイチゴムースを口へと運ぶ。
 表情からは不味いとも美味いとも取れないが、きっと美味いのだろう。

 食べながら、ブルブル震える携帯を手に取る。

「もしもし、志保です。……はい、昼食を終え次第向かいます。……それなら今一緒に居るので……了解しました、では後ほど」

 ツー、ツー

 携帯を閉じて、ぐるりと後ろを振り向く。視線の先は圭介だ。
 先程の事もあったからか、圭介は志保が振り向いた瞬間に目を逸らした。
 一般女性に対してなら逆効果ではあるが、幸い志保は気にしないタイプだった。

「日下君 「えっと、あ、その……ごめん」 」

 用件を告げる前に、とりあえず先程の事を謝っておく。
(そして言ってから俺アホス! と内心でツッコミを入れた)  
 志保は表情を変えずに、小首を傾げた。

「先程真央先輩から電話がありました。スコアが昼食を食べ終わったら部室に来てほしい、だそうです」

 圭介は自分の早とちりとかその他諸々を恥じ、俯きながら頷いた。
 そして視線を逸らしたいが為に牛丼に目を落とす。
 相澤、頼むからそんなに見つめないでくれ……!

 そうして不自然なくらい下向きになっている彼に、牛丼は語りかけた。勿論圭介の妄想である。

『折角頑張ってカッコイイ服着てきたんだからちっとは頑張れよ、圭介! 漢ならやるべき事くらいわかるだろ !? 』
(いやいや、でも相澤って噂になる程の美人だしアニメのキャラで言うと某憂鬱の眼鏡なインターフェースみたいな感じで)
『お前フラグが立ってる事に気づいてないのか! これまでずっとやり続けてきたエロゲーとギャルゲーは何の為だったんだ!』

 そんなやり取りを数回繰り返した後、日下圭介は決断した。
 志保はまだこちらを見ている、大丈夫、怪しくないぞ俺、頑張れ俺。

「あっ、あ、あの――っ!」

 無駄に声を張りあげて、圭介は言う。
 志保は二回ほど瞬きして、再び小首を傾げた。

 よし、大丈夫だ、大丈夫だ俺。自分を励ましながら、彼は言葉を続ける。

「どうせ一緒の場所に行くから、そっその、一緒に行った方が……なんて、あ、でしゃばってるよな俺……」
「分かりました。もうすぐ食べ終わるので待っていてください」

 無表情のままそれだけ言うと、志保はくるりと向きを変えた。
 さっきと同じ、志保の後姿。
 しかしそれを見る圭介の内心は、百八十度変わったものとなっていた。 


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【後書き】

自分の番だってことに気づかなかったというか忘れていたという
凄い最悪な言い訳になりますごめんなさい。

とりあえず部活に皆集合という展開に持っていく事にしてみました。どうでしょう(汗)
圭介と志保は何かと接点多いですけど、この二人じゃ恋愛に結びつくってことは無さそうですよね。
皆さん本当にごめんなさい、凄い放置しちゃって。気をつけます。

次は和尚さんだけど受験近いから無理……かな?
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