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icon *星空から 幸せ 届けます*

日時: 2012/10/11 07:56
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-68-126-218f1.hyg2.eonet.ne.jp

   

  どうも!



 お久しぶりです。NiSiです。
新しい小説を書こうかと思います!


 題名を見たら大体見当付くかと思いますが・・・(汗)
今回のテーマは《クリスマス》です!季節モノです。
 
 ただ、季節モノの小説だと、クリスマス過ぎると「季節外れ」になってしまうのが怖いところで、なるべく更新は速くしたいのですけれど、無理なものは無理・・という時もあるので、クリスマス過ぎても、完結しないかもしれません(汗)
 でも、過ぎたとしても更新は続けるので放置されることは無いかと・・。

 今回は、色々とキャラも考えたので、紹介します。何度か更新するのでこまめに見ておくと、「誰?コイツ?」ってのが無く、スムーズに読んでいただけると思います。



 注意! 
この話の構成はすべて僕1人で想像して作ったものなので、現実の事実とは異なり、関係が無いので注意ください(汗)
 「この世界でのサンタクロースは・・」と思いながら読んでいただけると幸いです。






 
*登場人物*

 ニコラ (イメージが『なんでもお絵描き』にあります。)
 
 12才の女の子。小さい時に両親と死別し、親戚の家で暮らしていたがいきなり絶縁される。今は薄暗い路地裏でひっそりと暮らしている。
ココア(野良猫)が唯一の「家族」。



 ココア

 子猫、オス。飼い主に捨てられた野良猫である。
ニコラは、ココアは自分と同じ境遇にあると感じ。貧祖ながらも共に寄り添って生きていこうと決意し、今に至る。



 マロウ

 13才の少年。学校では成績優秀で周りから持ち上げられていたが、機械の様に生きる自分に嫌気が差し自殺を図ろうとするも、《サンタのおじさん》に止められる。いつも幸せとは何かを考えていて、ニコラにも問い詰め、ニコラを困惑させてしまうこともしばしば。



 チカ

 13才の女の子、両親が共働きで、幼い時から家事や年下の弟たちの世話をしていた。気丈で明るく、言いたいことはズバッと言ってしまう性格。そのせいで場の空気を悪くしてしまうことがあるのが玉にキズ。



 《サンタのおじさん》

 ご存知サンタクロース。の内の1人。(本人談)
人々に幸福を送り届けることが仕事であり、生き甲斐のようだ。ニコラやマロウに「魔法」をかけ、二人を新たな世界へと誘う。




*用語説明*

「クリスマス・チルドレン」
  
 サンタクロースの子供版。のようなもの、子供ながらトナカイを率いてソリに乗り、サンタクロースと同じ仕事をこなす。育成学校なるものが存在する。


「ブラック」

 通称「ブラックサンタクロース」。
クリスマスの夜、サンタクロースの邪魔をするために夜空を暴れまわる。サンタクロース同様、魔法が使える。「ハピネス」にはもちろん興味ない。


「ハピネス」

 サンタクロースの世界では「幸せの単位」をあらわす。
毎年、どのサンタが多くの「ハピネス」を集めることが出来るか競ってるらしい。「受け取り手が幸せと感じた」時、形となって目の前に現れる。
 あめ玉の様に小さく丸い形をしており、鮮やかな黄色をしている。





 
 前作で学んだことを活かして頑張りたいと思います。
 応援よろしくお願いします!


*お知らせ*
 かなり更新遅れています・・・(汗)
 諸事情で、これから更に更新が恐ろしいほど遅れてしまいます(汗)
 どうか気長にお待ちください!(待ってくれている人いるでしょうか・・・?)
メンテ

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Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.10 )

日時: 2012/03/12 01:15
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-74-177f1.hyg2.eonet.ne.jp

*第9話 「恐怖に」


 「怯える事ねぇぜぇ!?お穣ちゃん。」
 
 
 『ブラック』は不適な笑みを浮かべながらソリ越しにニコラに語りかける。
ニコラは震えながら『ブラック』を見つめていた。少ない時間だったが、授業で『ブラック』について多少は学んでいたのだ。

 ―『ブラックサンタ』・・・サンタクロースと対になる存在であり、子供の不幸を望む者。

 その性格から、子供たちの幸せを運ぶサンタクロースを嫌い、毎年プレゼントを運ぶサンタクロースを邪魔しては、子供たちの夢を壊していくのだった。


 そんな「クリスマス・チルドレン」にとって恐怖の対象が、今、ニコラの目の前にいるのだ。



 「・・・・こ・・・ココア・・・。」

 ニコラは恐怖を押し殺しながらココアに告げる。

 「・・・逃げてええええぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!」
 「うん!!!!」


 ココアはなりふり構わず空を駆け回った。
ニコラは振り落とされないように手綱を力いっぱい握り締めた。

 「逃げても無駄だぜ!!『ニコラ』ぁ!!!」

 『ブラック』もニコラたちの後を追う。あっという間にニコラに近づく。
ココアは必死に離れようと空を蹴り上げるが、相手はトナカイを三頭率いている。スピードでは勝てない。
 あっと言う間に、ニコラとの距離を縮めた。


 「なんで・・・私の名前を・・・!?」

 ニコラは確かに『ブラック』が自分の名を呼んだのを聞いた。
まだ一度も名乗っていないのに、なぜ自分の名を知っているのか。ニコラには恐怖を抱くほど謎だった。

 『ブラック』は不気味に答える。

 「さぁな・・・。」 

 『ブラック』は終始、不敵な笑みをしたままだった。
 疲れの出てきたココアのスピードは見る見る落ち、
一方で『ブラック』はニコラたちの周りをくるくると旋回するほどの余裕を見せた。

 「さあて、一仕事するかぁ・・。」

 『ブラック』は懐からいびつな形の杖を取り出した。木で出来ている様だ。
 その杖の先を、ニコラたちに向けた。


 「まあ、とりあえず、落ちておけよ。」


 バチチチチチッッッ!!!!


 直後、『ブラック』の持つ杖から稲妻が出て、その稲妻は確実にニコラを捕らえた。
 
 そのまま稲妻はココアも、ソリも飲み込んだ。


 「きゃあああああぁぁぁぁぁぁっっ」!!!!!」
 「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 ソリは稲妻で粉々に砕けてしまった。
 
 2人(1人+1頭)は砕けたソリから落ちた。


 『ブラック』はそれを確認し、大きな声で言った。

 「あははははははははっ!!飛べなきゃ運べねぇだろ!?残念だったなぁ!!あはははははははっ!!!!」

 『ブラック』は高笑いをして、そのまま夜空へと消えていった。







 ニコラは、1人、森の一角で雪に埋もれていた。


 「・・・・・・・。」

 先ほどの感電のせいで体が痺れてしまったニコラは、雪の冷たさを体全体で味わっていた。

 「・・・・・っ!」

 いつまでも寝転がってはいられないと思ったニコラは、痺れる体にムチ打つように無理やり起き上がった。
 
 森の中だ。周りは木ばかりで、ここがどこなのかまったく分からない。身の回りにソリの残骸が散らばっていた。




 「ここは・・・?」



 ニコラは空を見上げた。

 夜空の星は相変わらずきらきらと輝いていた。



 だがニコラには、星が先ほど空を飛んでいたときよりもずっと、自分から遠のいて見えるように思えたのだった。



  −続く−

メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.11 )

日時: 2012/03/12 01:07
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-74-177f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第10話 「森の中の闇に」


 ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・。


 深く積もった雪の上を、1人の少女がよろめくように歩いていた。
足取りが不安定で、雪道を歩くのに苦労していた。
 彼女自身の息も上がっていた。
サンタクロースの格好をした赤いコートには、あちこち切り傷がついていた。


 「はあ・・・はあ・・・。」


 ニコラは息を切らしながらも、確実に一歩ずつ歩いていた。
時々雪に足をとられ、雪に顔を埋めてしまうことがあった。
 しかし、何度でも起き上がり、ただ、森の出口を求めて、見失ったココアを探すために歩き続けていた。

 「ココア・・どこ・・・?」

 ニコラは力なく呟く。 
帽子もどこかになくしてしまった。顔には少しずつ霜焼けが出来始めていた。
 森は非情にもニコラを森から出すまいと、木々で囲い込む様だった。

 「・・・・ぅあっ・・!?」

 ニコラはまた、雪に足をとられ、そのまま前へうつぶせに倒れた。
 
 先ほどまでなら起き上がっていたが、今度は起き上がらない。
『ブラック』の電撃のせいでまだ体が痺れていた。今まで我慢して体を動かしてきたが、もう限界になっていた。

 「『ハピネス』も・・なくしちゃった・・・。」

 ニコラは倒れたまま、口の開いたポーチに手を入れた。

 ニコラの手に、何も触れなかった。

 自然とニコラは目じりに涙を浮かべ、
 そしてその涙を雪に落としながら、
 雪の冷たさを感じつつ、ゆっくりと目を閉じた。








 「お穣ちゃん。大丈夫かい?」

 ニコラは、落ち着いた、ゆっくりとした声に目が覚めた。

 いつの間にかニコラはぶかぶかのパジャマを着て、大き目のベッドに寝ていた。

 部屋の中は小ぢんまりとしていた。暖炉がついていて、中で薪がパチパチと音を立てて燃えていた。

 辺りをくるくると見回していると、そばに1人のやせたお爺さんがいることに気がついた。
突然目に入り驚き、ニコラの体が小さく跳ねた。
 お爺さんは優しく笑って、ゆっくりとした口調でニコラに話しかける。

 「ほっほっほ・・顔色もすっかり良くなったな。いや、よかった。」

 爺さんは暖炉にかけていたヤカンを取り出し、二つのマグカップに注ぐ、中には、片方にはコーヒー、もう片方はミルクココアだった。

 「こんなに積もっているのに、あんな森の中で寝てちゃ大変だよ!?私が見つけてなきゃあ、今頃雪に埋もれちゃっていたかも知れん。」

 お爺さんはニコラにそういいながら、ミルクココアの入ったマグカップを差し出す。

 「飲みなさい。体があったまるじゃろうて。」

 ニコラは無言でマグカップを手に取り、ゆっくりと中身を飲んだ、体の中から、熱が染み渡っていくのが感じられた。
 自然と落ち着きを取り戻したとたん、ニコラはあることに気がついた。


 「・・・・ココア!!!!」


 『ブラック』の奇襲後、ニコラはココアと離れ離れになっていたことに気がついた。
慌てて立ち上がろうとすると、ベッドの布団の中から何かがもそもそと動き出した。

 「・・・・・?」

 ニコラは布団を恐る恐る開けると、中にこげ茶の毛をもつ一匹の子猫が体を丸めていた。

 「・・・ココア!!」
 「にぃーーーー!!」

 ニコラはココアをきつく抱きしめた。
喜びと安堵で思わず涙がこぼれる。ココアはそれを舌でふき取っていた。

 「この子猫ちゃんが、私に君が倒れていることを教えてくれたんじゃ。」
 「ココアが・・?」

 ニコラはココアを見た。
ココアは目を瞑っておでこをニコラに押し付けていた。

 「ココア・・魔法が解けちゃったんだね。」
 「にぃ〜〜〜〜・・。」

 ココアが申し訳なさそうに頷く。

 「どうか、したのかの?」


 お爺さんは落ち着いた様子でニコラに問いかけた。
ニコラは、お爺さんなら何か知っているかも知れないと思った。

 「あ・・・あの・・・・!」



 それからニコラは、この小屋に来るまでの経緯をお爺さんに話した。




 −続く−

メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.12 )

日時: 2012/04/25 01:39
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
参照: 更新スピード激減です(汗
情報: 112-70-66-136f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第11話 「最後のプレゼント」


 「なるほどな・・・。」

 小柄な、優しい目をしたお爺さんはそう一言呟き、カップのコーヒーを一口飲む。

 「『ブラック』に目を付けられたのか。それは、厄介なことだったね。あいつは一度目を付けた相手は、確実に仕留める。恐ろしいヤツだからね。」

 ニコラはただ小さく頷き、ココアを抱きしめながら、カップに注がれたミルクココアを一口飲んだ。
 ミルクココアはとても砂糖が入っているらしく、甘さが強く効いたココアだった。
甘い物好きとは言え無いニコラには、この甘さはあまり好まなかった。

 「まあ、あと3時間もすれば、夜明けだ。奴は、吸血鬼みたいに、太陽が昇ると姿を消すんだ。もうしばらく、ゆっくりしていきなさいよ。」

 お爺さんが微笑みながら言う。ニコラは素直に頷こうとした。
・・・が、

 「・・・・・あっ!」

 ニコラは、自分が寝転がっていたベッドのそばに掛けてあった、サンタ用の赤いコートを引っ張り出し、ポケットや、ベルトについたポーチに手を入れる。
 ニコラの焦る様子に、お爺さんは心配そうにニコラを見つめ、小さく言った。

 「どうかしたのかい?」

 ニコラは少し困惑した調子でお爺さんに話しかける。

 「どうしよう・・・・最後のプレゼント、どこかに落としちゃった・・・!!」

 
 ニコラがそう一言言うと、お爺さんは大きく目を見開いて、その場で固まってしまった。
ベッドで丸くなっていたココアも、事の重大さにのんびりしていられないようだ。ベッドから降りて、ちょこちょこと動き回る。

 「大変じゃ。プレゼントを送り届けられなくなると・・・。」
 「何か起きるんですか?」

 ニコラは、驚くお爺さんに更に不安を掻き立てられたようだ。
お爺さんにすがる様に問いかける。




 「・・・・サンタ失格になってしまう。」


 お爺さんはそう、一言言った。

 「さ、サンタ失格・・?」

 ニコラがオウム返しに呟く。


 「そうじゃ。クリスマス内にプレゼントが配れなかったサンタクロースは、『サンタ失格』として、この世界から追放されてしまう。」
 「えっ・・・!」
 「それだけでない、この世界から出て行く際。ここにいた時の記憶は全部消されてしまう。自分がサンタであったことも、忘れてしまうんじゃよ。」

 「そ、それって・・・。」
 「そうじゃ。きみがここの世界で出来た友達のことも、全部忘れてしまうんじゃよ。」




 ニコラはただ、唖然としていた。

 せっかく出来た友達と別れなくてはならない。
 また、あの悲しみに埋もれた世界に戻らなきゃいけない。
 今までのように、クリスマスになると涙を流す日々が来るのだろうか。




 「・・・・いやだよ・・・。」
 「うん?」

 おじいさんが振り返るよりも早く、ニコラはコートを羽織って小屋から飛び出した。ココアも続く。

 「こ、これ!!まだ辺りは暗い!危険じゃ!!」


 ニコラは、お爺さんの話に聞く耳も持たず、森の中へと入っていった。








 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 ニコラは真っ暗な森の中、手探りでプレゼントを探した。
この広い森の中、どこでプレゼントを落としたのかも判らないでいる。見つけることはほぼ不可能だ。
だが、ニコラは焦燥に駆られて、無くしたプレゼントを探し回っていた。

 「どこ・・・・?どこ・・・?」

 ニコラは怯えるように何度もそう呟き、雪をかき回しながら探した。
グローブを忘れたせいで、手がかじかんでいた。
 しかし、そんなことも気にせず、ニコラはひたすら雪をどける。

 「みんなと・・・お別れなんて・・・いやだ・・・。」

 見えない雪に足をとられながらも、前へとニコラは進もうとする。
何度も倒れては立ち上がり、倒れては立ち上がりを繰り返していた。

 「まだ・・・幸せを・・・見つけてない!!」

 目に涙を浮かべながら、雪を掻き分け、進み、プレゼントがどこかにないか、手をあたりにさらす。
 
 直後、何かに手が触れた。

 「あった・・・!?」

 ニコラはプレゼントを見つけたと思い、大きな声で喜んだ。

 
 が、それは大きな間違いだった。

 「グルルルッルルルルル・・・・。」
 「えっ・・・?」

 ニコラが触れたのは、プレゼントではなく、オオカミだった。
それも、勢いよく鼻先を叩いてしまったので、オオカミは機嫌を悪くしてしまっていた。

 「そ・・・・そんな・・・。」


 ニコラは慌てて逃げようとした。
が、直後、雪に足をとられ、大きくつんのめってしまった。
オオカミはその一瞬を逃さなかった。大きく飛び上がり、ニコラに狙いを定めた。


 「ううっ・・・・。」


 もう駄目。そう思った瞬間。
 
 辺りがいきなり眩しく輝きだした。
オオカミは突然の光に驚き、空中でバランスを崩してしまい、そのまま雪に突っ込んでしまった。


 ニコラもオオカミ同様驚いていた。

 顔を上げると、目の前に、先ほどのおじいさんが、サンタクロースの格好をして立っていた。
ただ、お爺さんのコートは赤く染まっておらず、雪と同化する様な純白のコートだった。


 「お、お爺・・・さん・・?」
 「危ないと、言ったじゃろう?」

 おじいさんは、今までに無く、落ち着いた声でそう言った。
ニコラを助け起こし、雪に埋もれたオオカミを助けてやった。

 「さて、戻るかの。」

 ニコラはお爺さんをみて、恐る恐る訊ねた。


 「お、お爺さんは・・・・?」

 「わしか?」

 おじいさんは少し目を細めて言った。



 「わしは、『聖サンタクロース』。迷える『クリスマス・チルドレン』を導くために、君の前に現れたのじゃよ。」




 −続く−
メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.13 )

日時: 2012/09/02 00:40
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
参照: お久しぶりです!!
情報: 180-146-27-117f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第12話 「届けよう。」


 「聖・・・サンタクロース・・・?」

 ニコラはただ鸚鵡返しにそう呟くことしか出来なかった。

 ニコラの目の前には、雪と同化してしまいそうなほどの純白なコート、帽子、手袋、しっかりと編みこまれたブーツを身に付けたお爺さんが立っていた。

 「そうじゃ。先ほどまで庶民の装いをしていたのだが、今は緊急事態じゃからのう。ほほ。久しぶりにこんな格好になったよ。」


 『聖サンタクロース』は、コートの端を軽く叩いて微笑んだ。
彼の回りでは雪の粉が取り巻くようにゆらゆらと揺らめいていた。
 気付けばニコラの回りにも雪の粉が舞っていた。
そっと手を触れてみる。ひんやりと冷たい。しかし、重さを感じない。まるで光が粉になって浮いているようだ。


 「さあ、身体がまた冷えてしまったろうに、早く家に戻ろう。」

 
 『聖サンタクロース』はニコラの手を、優しく握った。
ニコラは何も言わず、夢見心地になった目で家に戻っていた。

 (あれ・・・・この感覚・・・・)

 ニコラは初めて『サンタクロース』に出会った頃を思い出していた。

 

 ニコラは、考えることを止め、マグカップを抱えるように持ち、ぼうっと暖炉の火を眺めていた。
無くしたプレゼントはどうしようか。ニコラには何も思いつかなかった。
いくら考えたところで、心当たりが無いため、どうしようも無かった。
時々頭をかきむしってみる。そのたびに、ココアが心配そうにニコラを見つめた。

 一方、『聖サンタクロース』は椅子に深く腰掛けて、落ち着いた様子でニコラと暖炉の火を交互に見ていた。
時折、手元の時計を見ては、窓を見て一息つく、その繰り返しだった。




 「・・・・・・あの・・。」
 「うん?」

 約1時間の沈黙の末、ニコラは口を開いた。

 「もう・・・駄目なのかな・・・?」
 「・・・・。」

 ニコラはひざを抱えるように座り、顔を膝で隠していた。
その顔をあげず、隠したまま話す。声が少し曇って聞こえる。

 「もう・・・終わりなのかな・・・?」

 少し顔を上げる。『聖サンタクロース』は黙ってニコラを見つめた。
ニコラの目には、涙が溢れんとばかりに浮かんでいた。

 「やっぱり・・・・・私は・・幸せになれないのかな・・・?」

 ぽた。 と、小さい音を立てて涙が落ちた。
 ココアが涙を拭こうと近づくが、ニコラは顔を上げなかった。
 ニコラは、時折鼻をすすり、目をこすった。また、沈黙が続く。


 「・・・それじゃダメだよ。ニコラ。」

 『聖サンタクロース』は一言、そう言った。

 「・・・え?」
 「幸せは『なれるかどうか。』じゃないんだよ。」

 『聖サンタクロース』はそう言って立ち上がり、暖炉にかかっていた。ニコラのサンタ帽を取り出した。
 

 「幸せは、『なるかどうか。』だよ。」
 
 ニコラは顔を上げた。『聖サンタクロース』が目の前で立っていた。

 「『なるかどうか。』・・・?」

 ニコラは小さくそう呟いた。

 「そう。幸せはね。自分で生み出さなくちゃ生まれないものさ。じっとしていても、幸せはやってこないよ?」

 『聖サンタクロース』は、そう言ってニコラのサンタ帽に手を入れ、中から何かを取り出した。



 帽子の中から出てきたのは、ニコラが探していた。最後のプレゼントだった。


 「あっ・・・!?」

 ニコラは驚いて立ち上がった。まさか自分の帽子の中に入っていたなんて、思いもしていなかった。
 そもそも、無くしたと思っていた帽子がなぜここにあるのか、それ自体不思議だった。

 「ココアがここに来るときにね、大事そうにくわえてたんだよ。中にはプレゼントが入ってたたんだ。」
 「ココア・・。」

 ニコラはココアを見てそう呟く。しかし、ココアは首を横に振って答えた。


 「いいや。プレゼントを入れたのは、きっとニコラ、君だよ。」
 「え?・・・でも・・。」
 「ほら・・・。」

 『聖サンタクロース』はプレゼントの箱をニコラに見せた。

 「・・・・・あ・・・・。」










 「本当に大丈夫かい?」
 「はい!大丈夫です!!」

 『聖サンタクロース』は笑顔でニコラを見る。
彼の目に映るニコラは、1時間前とはまるで別人のように明るさを取り戻していた。

 「あと1時間半で夜明けになってしまう。気をつけてね。」
 「はい!!ありがとうございました!!」
 
 ニコラはそう言って、修理されたソリに飛び乗る。

 「サンタさん!ありがとう!!」
 もう一度魔法でトナカイになったココアが元気にお礼を言う。
『聖サンタクロース』は笑顔で答えた。



 
 「さ・・・行こう。ココア。」

 ニコラはそう呟き、ココアは小さく頷いた。

 夜風を感じながら、ニコラは手元のプレゼントを見た。


 包みのリボンに、黄金色のボタンが付いてた。

 そして、自分のコートに目をやる。

 ちょうど上から2番目のボタンがとれていた。


 「なんで気付かなかったんだろ。」

 ニコラは夜空を見つめ、小さく笑った。
風でなびく帽子を手で押さえる。帽子からこぼれた髪でも夜風を感じることが出来た。



 「私、まだ幸せを失ってなんて無かったんだよね。」





 さあ、届けよう。

 「幸せ」を





 −続く− 
メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.14 )

日時: 2012/09/15 00:19
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-62-197f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第13話 「クリスマスプレゼントの中身は?」


 シャン・・・シャン・・・シャン・・・・・・


 夜風に混じり、星の瞬きに同等するように鈴の音が鳴り響く。

 夜風を髪で感じながら、ニコラは最後のプレゼントを大事そうに抱えている。
目を凝らして届け先の家を探す。

 「間に合うかな・・?」

 ココアが心配そうに呟く。確かに月は沈みつつあり、東の空はかすかに明るくなっていた。
ニコラは焦る気持ちを抑えて、なるべくココアに不安感をあおらない様に穏やかに言った。

 「大丈夫。大丈夫。」

 そう言うニコラの手はかすかに震えていた。


 

 「ここだね。」

 ニコラは街の一角にあるマンションの最上階の窓にソリで近づきながら言った。
これで何とかサンタクロースの勤めを時間内に終えることが出来る。そう思うと、少し気が楽になっていた。

 「あっ・・!ダメだよ!!」

 ココアが慌てて上昇する。
危うくプレゼントを落としそうになった。
ニコラは驚きながらココアに言う。

 「どうしてよ?」
 「微かにだけど、電気がついてる。中の子はまだ起きてるんだ。」
 「え・・・?」
 「サンタクロースは子供に姿を見られちゃダメでしょ?あの子が寝るまで待たなくちゃ・・・。」
 「そんな・・・。」
 
 ニコラは空を見上げる。
確実に夜明けの明るさは闇夜を照らしつつあった。
時間は無い。焦る気持ちがニコラを襲う。
このままじゃ・・・。

 「あ・・・・もしかして・・・。」

 ニコラは一言、呟いてココアに言う。
 
 「ココア、降ろして!」
 「えっ!?だから・・・」
 「いいのっ!大丈夫だから!降ろしてちょうだい!」

 ココアは不安そうにマンションの屋根に着陸する。
ニコラはプレゼントを抱えてソリから降り、屋根の上から窓をそっと覗き見た。


 「サンタさん・・・・こないよぉ・・・。」

 少年が1人、ベッド傍のランプを付けて、何も入ってない靴下を持って呟いていた。

 「ぼく、悪い子だったのかな・・・・。」

 少年はうつむきながらそう言った。
手に持った靴下に涙が落ちる。


 「ニコラ、まさか・・・」
 「止めないでよね。ココア。」

 
 「ぼく、悪い子だから、もうサンタさん来なくなっちゃったんだ・・・!」
 
 少年は絶望したようにそう言って、ぼろぼろと涙を流してベッドに突っ伏した。
うずめた顔と枕の隙間から泣き声が漏れでていた。



 「そんなことないよ。」

 少年は驚いた様に顔を上げた。
窓が開いている。カーテンが夜風で揺れている。

 「大丈夫だよ。サンタさんは、ちゃんとあなたのところに来たから。」

 少年はびっくりして自分の目を疑っていた。
少年が今目の当たりにしているのは、何処からとも無く現れた、サンタのように赤いコートと帽子を被った少女。


 「ごめんね。待たせちゃったね。」

 ニコラは笑顔でそう少年に言った。



 −続く−

メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.15 )

日時: 2012/11/14 00:39
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-33-79f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第14話 「メリー・クリスマス!」前編


 小さな町の一角、雪の積もった屋根の上に、大きな影。

 その影の正体は、一匹のトナカイと一台のソリ、こげ茶色の毛皮をおつトナカイ−ココアは心配そうにニコラの帰りを待っていた。

 「ニコラ・・・大丈夫かな・・・?」

 ココアは空を見上げた。東の空の端が明るく色づき始めていた。
 足元を見て、自分のご主人の帰りを待っている。



 「おねえちゃん・・・・誰?」

 少年はニコラを見、震える声でそう訊ねた。
先程まで泣いていたからだろうか、頬に涙の後がほんのり赤く残っていた。
 ニコラのほうも、頬が寒さで赤く染まっていた。髪の毛に、小さな雪が絡まっていた。


 「どうして・・・どうやって・・・?」

 少年の声は震えたままだ。
声の震えようは、寒さが原因ではなさそうだった。
少年の視線は、ニコラからひと時も離れない。
警戒心が強い現われだった。
 ニコラは、「泥棒じゃないよ!?」と、誤解を解こうと笑顔になった。

 だが、少年とは言え、年齢は6,7歳。知らない人が家にやって来た。ということに対して、警戒が全く無いということでは無かった。
 
 少年はベッドから飛び上がり、部屋のドアを開けようとした。

 「ママ・・・」
 「ストーーーップ!!」

 ニコラが慌てて、ドアを引こうとする少年の手をぱっと掴んだ。
 少年の手の暖かさが、冷え切ったニコラの手に優しく伝わった。


 「「あっ・・・・!」」
 
 少年が驚いたようにドアノブから手を離し、ニコラもまた、慌てて掴んだ少年の手を離した。

 少年はもう一度ニコラを見、おずおずとした口調で、ニコラに訊ねた。

 「お、おねちゃんは・・・・いったい・・・誰なの・・・?」


 ニコラは、薄汚れてしまったコートと帽子を正し、少しでもサンタクロースの威厳をかもし出そうと、どんと構えてみた。
しかし、小柄な体つきのニコラには、本物のサンタクロースのような存在感は出せなかった

 気を取り直して、ニコラは言った。

 
「私は『クリスマス・チルドレン』。あなたにプレゼントを届けにきました!」


 ニコラはぱっと、少年の目の前に少し形が崩れたプレゼントボックスを取り出した。
同時に少年の目は大きく開かれ、ニコラとプレゼントボックスを交互に見た。

 
 「え・・・?サンタさん・・・・?」
 「ごめんね。ちょっと崩れちゃった。」
 「これ・・・ぼくに・・・?」
 「うん!」

 ニコラは笑顔で頷いた。
 少年はおずおずと手を差し伸べ、ニコラからプレゼントを受け取った。このときすでにニコラへの警戒は解けたようだった。


 こんな機会はそう無いと、ニコラは自分が届けたプレゼントを開けた時の少年の顔が見たくてその場に立っていた。
 

 今のニコラには、サンタクロースとしての教訓など、全く頭によぎらなかった。

 昔からお人好しだといわれていたニコラで、そういわれることに嫌悪感を抱いていたが、今はお人好しだといわれても、むしろ誇らしい気持ちになるような気がしていた。

 いまはただ、少年のプレゼントを何としても届けたい。
そして、少年がプレゼントを受け取って喜ぶ姿を見たい。ただ、それだけを思っていた。



 ところが、少年はプレゼントを受け取った後、中身を見ようとはしなかった。
そのまま、ベッドの脇にそっと置く。

 「あれ・・・?開けないの・・・?」

 ニコラが訊ねると、少年はちらりとニコラを見、ボソッと喋った。

 「うん・・・。」


 少年はうつむいた。プレゼントボックスがベッドの横で寂しそうにポツンと置かれている。



 ニコラは直後、自分は何か少年の心を傷つけるようなことをしてしまったのかと、心配に駆られた。
 

 夜明けは目前だった。



 −後編へ続く−
 
メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.16 )

日時: 2012/12/24 01:05
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-51-200f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第15話 「メリー・クリスマス!」後編


 街角の1つの街灯の明かりが、突然、消えた。

 するとその隣の街灯も光るのを止めた。するとまたその隣の街灯も、
更にその隣の街灯も・・。次第に、町の人工的な光は消えていった。

 少し暗くなった街に、細々しくもまた光が東から差し込んでくる。
人工的な光ではない。自然が生み出した、すべてを優しく包み込むような暖かい光だった。


 
 屋根に積もった雪がゆっくりと上ってくる朝日の光に反射して、きらきらと輝いていた。
ニコラは、そんな雪の絨毯の上で、行儀良く、膝を抱えて座り込んでいた。


 「何してるんだいニコラ?ちゃんとプレゼント渡せたんでしょ?」
 「うん・・・。」
 「じゃあ戻ろうよ!皆が起きちゃうと、飛べなくなっちゃう!!」

 ココアはそうニコラに言うが、ニコラはただぼうっと下を見ていた。



 自分は、本当にプレゼントを渡したのだろうか?
 本当に「幸せ」を届けることが出来たのだろうか?

 今のニコラには、心に引っかかるものがあった。




 がらっ・・・・。


 直後、ニコラの下―先ほどの少年の部屋の―窓の開く音がした。

 ニコラとココアは慌てて息を潜める。
まだ屋根の上にいることがバレると、次こそ親を呼びかねないとニコラは思っていた。

 「もう・・・いないか・・・。」

 少年の声がした。
 ニコラは反射的に顔を屋根先に近づけた。ココアがまた不安がる。

 「これ・・・どうしよう・・。」

 少年はぴかぴかと光る金のボタンを手にそう言った。
プレゼントボックスに引っかかったまま、結局渡してしまっていた。
 
 それを見てニコラは思わず

 「あっ・・・!それ、ボタン・・!?」

と、屋根上から声を掛けてしまった。


 「ひゃぁぁぁぁ!!!????」

 突然頭上から声がしたので、少年は力の抜けるような声で悲鳴を上げた。


 「あわわ・・!ご、ごめんなさい!!!」

 ニコラは自分の失敗に慌てて謝る。ただ、少年は次は警戒はしなかった。
場所が悪いからと、ニコラは改めて少年の部屋におじゃますることになった。もちろん親には秘密である。



 「あ・・・」

 渡したプレゼントボックスは、ちゃんと開けられていた。
 プレゼントの中身は可愛らしいクマのぬいぐるみだった。

 「・・・あっ・・!」

 少年は慌ててぬいぐるみを布団に隠す。
見てもらっては困る。というような仕草だった。ニコラには不思議で堪らなかった。

 「どうして・・・・?可愛いぬいぐるみじゃない?」
 「・・・・・。」
 「き、気に入らなかったの?」
 「・・・・・。」
 「ち、違うものが欲しかったの?」
 
 「・・・・違うよ。」

 少年はぼそりと、少し顔をうつむいて、また少し頬を赤らめて言った。

 「だって・・・女の子っぽいじゃん・・・。」
 「・・・へ?」
 
 ニコラの頭に、1つ、「?」が付いた。


 「友達に言われるんだ。『女の子みたい』って・・・。」
 「・・・・。」
 「そんな事もう言われたくないし、恥ずかしいし・・・・。」
 
 少年は少しもじもじしながら答えていた。しかし、次の言葉だけははっきりと喋った。

 「でも・・・このぬいぐるみ前からずっと欲しくて・・!」

 少し高揚した気分が一気に冷めたか、少年はまた先ほどの調子に戻った。
 「だから・・・。」


 ニコラは、クスクスと笑った。
少年は不思議そうにニコラを見つめた。

 ニコラは布団に押し込められたぬいぐるみを助け出し、少年の膝元にぽんと乗せて言った。


 「きっと、このぬいぐるみも『幸せ』だよ・・・!」

 少年はニコラに見つめ返されて少し戸惑っているようだった、が、ニコラは続ける。

 「だって・・・そんな風に言われても、まだ好きでいてくれるだなんて・・・このクマさんも、きっと嬉しいと思うけどなぁ・・!」
 「ほ、ほんとう・・・・?」
 「うん!!」

 ニコラは笑顔で答えた。


 「だって、クリスマスはみんな『幸せ』になれる日なんだよ!?人も、動物も、みんな、全部!!」



 少年の目は大きく開かれ、少しばかり潤んでいた。
そしてまた、顔が赤くなりながらも、クマのぬいぐるみを、きゅっと抱きしめた。



 「・・・・うん・・・!」

 そして少年はそう頷いた。



 ニコラは、ぬいぐるみを抱きしめる少年を見て、
人の喜ぶ顔を見るのにも、『幸せ』は隠れているということを知った。

 こうして少年にプレゼントを渡し、そして心から喜んでもらえた。
自分自身はプレゼントを貰ったわけではないのに、心が満たされていくのがニコラには感じ取れた。

 それは、間違いなく、ニコラが探していた『幸せ』だった。
相手を幸せにすることが、もっとも「簡単」で、また「難しい」事だったのだという事に、今のニコラは気付いたのだった。

 


 ニコラは少年と面と向かって、満面の笑みで言った。



 「*メリー・クリスマス!!*」






 −続く−

 
メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.17 )

日時: 2012/12/25 07:51
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-51-200f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第16話 「幸せ」


 夜が明けてから、かなり時間が経っていた。
眠りから覚めた人々は、新しい一日のスタートを切る。

 街中に、子供たちの喜ぶ声が響き渡ってた。



 「・・・・やっと着いた。」

 ニコラはそう言って、学校の大きな門を潜り抜け、
プレゼントを配り終えた「クリスマス・チルドレン」が集う校庭に足を運んだ。
思いのほか疲労が溜まっていたのか、ニコラは少々足を引きずるように歩いていた。

 「大丈夫かい?気をつけてよ・・・?」

 そんなニコラの様子を見たココアは不安そうに話す。

 「大丈夫だよ・・!」

 ニコラはそう一言返して、校庭に向かった。




 校庭には人がたくさんいた。
もちろん、一般人はいない。「サンタクロース」や、「クリスマス・チルドレン」がみんな集っているようだった。
 みんなそれぞれに配達中に起きた出来事を話し合っているのか、とても明るく、にぎやかな雰囲気だった。
 
 ニコラもみんなの元に行こうとすると、集団のうちの1人が、ニコラに気付いたらしく、「あっ!」と声を出した。
直後、次々にみんながニコラを見る。
先ほどまでにぎわっていた校庭が、一瞬にして静まり返った。

 「・・・・え?」

 ニコラは、なぜみんなが黙ってしまったのか分からず、一人困ってしまっていた。
そこに、マロウとチカが走り寄って来た。

 「ニコラ!!」
 「2人とも・・・!」
 「ニコラ・・・何をしてるんだよ!?」
 「へ・・・?」

 マロウがそう言うと、ニコラはなぜそんなことを言われているのか分からず、首を傾けた。
そんなニコラを見たチカが、言い辛そうにしながらもニコラに話しかけた。

 「ニコラ・・・子供に自分の姿を見せたって・・・本当?」

 チカの言葉に、ニコラは「あっ・・」と小さく声を出した。
 ニコラはあの時、何のためらいも無く、ココアの反対も押し切って少年の前に姿を現してしまった。
少年にプレゼントを渡したい一心でいたせいで、全くその考えが浮かばなかったのだった。
 しかし、よくよく考えてみれば、それはサンタクロースの規則に反した行為であり、犯してはならないものだった。

 「でも・・・・。」

 何か言おうとしたニコラを遮るかのように、チカはニコラの後ろを見て驚いていた。
続いてマロウも、さらにその後ろの「クリスマス・チルドレン」達も、ニコラの後ろを見て、驚きの声を上げていた。

 ニコラも振り返ってみてみると、
そこには森で出会ったおじいさん・・・『聖サンタクロース』が立っていた。

 「『聖サンタクロース』さん・・・どうしてここに・・?」

 驚いているニコラに、『聖サンタクロース』は笑いながら答えた。

 「なぁに、少しね。」

 いたずらっぽく笑い、そして前を向いた。
視線の先には、校舎から出てきた先生のサンタクロース達がいた。
何か持っているようだった。



 サンタクロースはニコラを見るや否や、申し訳なさそうな顔をし、ゆっくりとニコラに近づいていった。
そして、ニコラにこう言った。

 「ニコラ・・・やっぱり、君は少し早すぎたかも知れないね・・・。」

 サンタクロースはそう言って、持っていた紙を取り出して、読み上げた。

 「ニコラ、君はサンタクロースの規則に反した罰として、この学校から退学処分を命じる。」

 周りの生徒達がざわめく、チカもマロウも心配そうな顔でニコラを見ていた。




 肝心のニコラ本人はというと、それほど悲しい顔をしていないようだった。
少し頭をかいて、「まいったなあ」といった軽い感じだった。

 「・・・・退学ですか。」
 「うん。」

 ニコラはその言葉を聴いて、少し気持ちが沈んだのだろう、けれどもそれを表に出すことは無かった。
いや、出すことなんてない、そうニコラは思っていた。



 「わかりました・・・。」
 「ニコラぁ!?」

 ニコラは抵抗もせず、あっさりと退学を受け入れたので、チカやマロウは驚いてニコラに駆けつけた。

 「退学だよ!?もう・・・サンタにはなれないんだよ!!?」
 「うん・・・。」
 「私たちともお別れしないといけないんだよ!?分かってる!?」
 「分かってるよ!」

 ニコラは笑顔でチカやマロウに言った。

 「確かにお別れだけど、別に二度と会えないわけじゃないでしょ?」
 「え・・・?」
 
 ニコラは続けていった。

 「私、今ならサンタさんになれなくても、『幸せ』を見つけられる自信があるよ。」
 「えっ・・・?本当?」
 「うん。サンタさんになって分かったんだ。『幸せ』の見つけ方を。  だから、別に怖くないし、つらくも、寂しくも無いよ!」

 ニコラはチカとマロウの手を取って、ぎゅっと握った。

 「会えなくなっても、どうにかして会いに行って見せるよ!」

 チカとマロウは、そんなニコラを見て、自然と笑ってしまっていた。
先ほどまで泣くのでは無いかと思われていたチカも、にかっと笑っていた。
 
 「何でだろう、不思議だね。ニコラがそう言うと、そうなるようで、不安が無くなっちゃったよ!」
 「うん!僕も!」

 3人は手をつないだまま笑いあっていた。



 その様子を『聖サンタクロース』は見、そして先生サンタクロース達のところへ行った。



 「あ、あなた様は・・・!」

 先ほどからいたことに気付いていなかったのか、サンタクロースたちは深々と頭を下げた。

 「そんなことはしなくていい。私も、もともとはニコラと同じ目に遭うはずのサンタなんだからね。」

 聞こえていたニコラは、「え?」と不思議そうな顔をして『聖サンタクロース』を見た。『聖サンタクロースは』軽く笑って、話を続けた。


 「彼女は一生懸命だったよ。自信がどれほど傷ついても、決して音を上げなかった。子供達にプレゼントを渡すんだ。という強い心の現われだと、私は感じ取ったよ。この子は優秀なサンタになれると思うのだが・・・?」



 サンタクロースたちは、互いに話しあい、何かを決意したかのように、互いに頷きあっていた。

 そして、ニコラ前に、サンタクロースの1人がやって来た。
あの時、ニコラをソリに乗せて、この学校に連れて行ってくれたサンタクロースだ。

 
 「ニコラ・・・。」
 「はい?」
 「『幸せ』は・・見つかったかい?」

 ニコラは笑顔で、堂々と、言った。」

 「はい!」



 サンタクロースはそれを聞いた後、同じく笑顔で頷き、先ほどまでニコラに突きつけていた「退学処分」の通知書をその場でビリビリとやぶってしまった。

 「ニコラ、来年も、私達と一緒に『幸せ』を届けて回ろうか・・!」

 ニコラの顔がぱあっと赤くなって、少し涙を目に含みながら、ニコラは返事をした。

 「はい!!」



 直後、チカとマロウが大はしゃぎでニコラに抱きついた。
それに続く形で、「クリスマス・チルドレン」たちもみんなニコラのもとに駆けつけた。
 みんなに祝っているニコラを見ながら、サンタクロースと『聖サンタクロース』は話をしていた。


 「よかったです、誰も辛い思いをせずに済んで・・・。」
 「そうだな・・・私も、自分を救えた気がしてならんよ。」

 そう言って笑う『聖サンタクロース』にサンタクロースも同じく笑ってしまった。

 「僕としても、ニコラが。、『幸せ』を見つけてくれたのなら、それで良いと思っていましたから・・・。」

 そう言って、また二人は互いに笑いあった。





 「あっ!!」

 チカが、空を見上げて言った。

 「雪だ!!」

 見ると、空には雲が広がり、雪がしんしんと降ってきた。

 「本当だ!」
 「みんなで雪合戦しよう!!」

 マロウがそう言うと、皆は一斉にその場の雪をかき集め、雪球を作り始めた。








 



 それからしばらくは、子供達の笑い声だけが、この空に響き渡っていた。






 −続く−
メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.18 )

日時: 2013/02/02 00:26
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-65-233f1.hyg2.eonet.ne.jp


*第17話 「その後」



 その日は、かなりの積雪だった。

 あなたは、足元に積もった雪に気をつけながら歩いていた。

 時折前方不注意になり、すれ違う人にぶつかり、誤り。

 そうして、靴を雪でぐっしょり濡らしたあなたは、「我が家」へ辿り着く。


 
   今夜はクリスマスイヴ・・・。


 あなたは、まだ暗い自室に入って、そう一言呟く。

 

   サンタさん、来るのかな・・・?

 
 明かりを付けず、そのまま窓を開けて、あなたは夜空を見上げる。

 雪が止み、雲のすき間から、星空が顔を覗かせていた。

 明日は晴れそうだ。あなたは少し安心して、ゆっくりと窓を閉じる。

 ストーブを付けよう。そう思って、あなたは部屋の明かりを付ける。





 夜、

 
 あなたは布団にもぐりこみ、

 かすかに耳を済ませてみる。

 風の音が聞こえた。風に吹かれて、がたがたと揺れる窓の音が聞こえる。
 鈴の音をかすかに期待してみる。



 ・・・静寂。





 眠れない夜、

 あなたはいても経ってもいられず、その身体を起こし、

 ゆらゆらと、窓に近寄る。

 窓越しに見える星空に、あなたはついつい窓の鍵を開けてしまった。

 

 満天の星が見守る、眠る人々の息遣いが聞こえてきそうな、静かな
夜。
 あなたは一言、誰に言うわけでもなく、呟いた。

 

 メリー・・・クリスマス。

 

 ふと、我に返ったあなたは、

 こんな真夜中に何してんだろ。

 と、恥ずかしくなって窓を閉じようとした。


 


 シャン・・・シャン・・・。




 ふと聞こえた、鈴の音色、

 あなたは慌てて窓をもう一度開けて、身を乗り出して空を見渡す。


 星以外、空には何も見えなかった。

 あなたは、少し肩を落として、また、窓を閉めた。







 気付けばあなたは睡魔に襲われていた。

 布団のぬくもりに、眠気は増していくばかり、

 まぶたは次第にゆっくりと閉じていく。

 あなたは抗うことなく、眠りに就こうとした。


 




 わずかに開いた視界の端に、

 あなたはひとつの人影を確認した。

 
 だれ・・・・?


 そう思ったときには、あなたのまぶたはしっかりと閉じられた。

 

 
 何かが・・・自分の傍にやって来る。

 それはあなたの傍で立ち止まり、

 あなたはその「何か」が、じぶんの顔と、目と鼻の先まで迫っているということを、
 わずかに皮膚で感じ取った。


 

 


 意識が遠のき、眠りに落ちる直前に、

 あなたは少女の声を聞いた。

 まだ幼さを残した。可愛らしい声、

 まるで天使が自分を迎えに来たのかと思ってしまったほどだ。

 だが、それは天使のお迎えでは無い事を、

 あなたは少女の一言で確信する。

 そしてその一言を聞いた後、あなたは幸せに満ちた感覚に酔いながら、ゆっくりと眠るのだった。
 













  「*メリー・クリスマス!*」
 


 ニコラは、あなたにそう言って、また、夜空へと飛んでいった。







 −おしまい−

メンテ

Re: *星空から 幸せ 届けます*( No.19 )

日時: 2013/02/02 22:28
名前: NiSi ◆y2eau8XC5Y
情報: 112-70-65-233f1.hyg2.eonet.ne.jp

*あとがき*


 ・・・・やっと終わりました・・・・。

 この小説を最後まで読んでくださっていた皆様、
長らくお待たせしました・・・!
 
 最後まで不安定ながらも、何とか、「*星空から 幸せ 届けます*」。
完結することができました!

 
 投稿間隔が大幅に開いたせいで、小説内の場面における表現方法が極端に変わってしまったんじゃないだろうかと心配していましたが・・・・
自分で読み返してみると、そうでもありませんでした(笑)安定の文才の無さでした(涙)

 前作と比較してみて、今作は参照回数が驚くほど伸びていて、本当に嬉しかったです!!読んでくださった皆様本当にありがとうございました!!
 こんなつたない文章の中にでも、なにか皆様の心に残るようなものがあったのであれば、執筆者として、これ以上の喜びはありません。作者冥利に尽きます!!





 次回作はまだ未定です。
 というより、ポケモン二次創作小説のほうがあるので、(ほぼ放置状態です汗)
しばらくはそちらに力を入れることになると思います。

 また、更新速度もかなりスローになります・・・。
本当に申し訳ありません・・・!じっくり待っていただければ幸いです!




 しばらくはこのスレッドは開放します。感想、指摘、コメントよろしくお願いします!次回作につなげたいと思います!



 この小説を最後まで読んでくださった読者の皆様、
最後までお付き合いありがとうございました!!

 また近いうちにここ「Novel BBS」で会えることを願って!!

 


   −終わり−
メンテ

alt 書けませんよ。。。 ( No.ThreadStop )

日時: 2100/01/01 00:00
名前: read.cgi

真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ
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