icon 「神のone’s・relatives」

日時: 2007/10/04 18:55
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

登場人物です。

時々変更していきます。

というか、多すぎ・・・。


・二十八宿

神により、星の名前と体を与えられた精霊。28人いる。

その中に、他の二十八宿と契約をかわす、5匹の霊獣がいる。

室(はつい)女(外見16歳)

主人公。過去に何か理を犯し、自ら自分を封印する。他人の心を

癒すのを得意とする。

柳(りゅう)男(外見20歳)

室を助ける。室の恋人?無表情だが、優しい。

鬼(き)霊獣:攻撃力5、金性

恐ろしい姿だが、根は優しい。室の霊獣。

張(ちょう)女(外見9歳)

柳と室の妹的存在。再生能力は、二十八宿の中でも一番。相手に

よって口調が変わる。黒龍が良い例。

氏(てい)霊獣:攻撃力2、水性

張といつも共にいる、張の霊獣。

斗(ひきつ)女(外見8歳)

薬師の双子と呼ばれる、赤い髪の少女。毒薬が専門。

箕(みぼし)女(外見8歳)

薬師の双子と呼ばれる、青い髪の少女。良薬が専門。

双子の作る薬は、効きめが凄いとの噂。

亢(こう)男(外見10歳)

二十八宿の中で、攻撃力は十番目に強い。子供のような外見と、

口調は比例してない。

奎(けい)女(外見19歳)

亢の姉的存在。攻撃力はあまり強くないが、呪いを解いたり結界

を張る事が出来る。


虚(とみて)、角(かく)、昴(すばる)、危(うみやめ)、

畢(ひつ)、軫(みつかけ)、井(せい)、胃(えきえ)、

星(ほとほり)、参(しん)、房(そい)、壁(へき)、

婁(ろう)、觜(とろき)、翼(よく)、女(うるき)



・霊獣
尾(あしたれ)霊獣:攻撃力1、木性

心(なかご)霊獣:攻撃力3、火性

牛(いなみ)霊獣:攻撃力4、土性

・砂漠の精霊

黒龍(こくりゅう)

優しい性格、というか、単純。離陸のスピードは速いが、

着陸が下手。

百煉(びゃくれん)

黒龍の心友。黒龍よりもしっかりしている。

・リアジス

この世界一の悪党集団。


こんな感じです。「てい」の漢字が見つからなかったので、

無理矢理くっつけました(笑)電子辞書では出るのに〜。(TT



豆知識

室、三途の川に来ちゃいました。

一説では、三途の川というのは、人それぞれで渡る川辺が違うら

しいです。

渡れるところは3箇所あって、1箇所は賽の河原で、子供が来る

場所。子供は川を渡る前に石を積みます。



雑談

何故かふと、漫画などで怒ったお父さんとかがやる、ちゃぶ台を

ひっくりかえすやつを思い出しました。

あれって、乗ってたお茶碗とかが大変な事になるけど、後片付け

は、ひっくりかえした本人はやらなかったりしますね。

ちなみにこれは一徹返しと言って、巨●の星の星一徹がやったか

ら、この名がついたそうです。
メンテ

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Re: 「神のone’s・relatives」( No.25 )

日時: 2007/08/31 17:02
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜約束の言の葉(下)〜

生きとし生けるものには、何かしらの法則が、一つや二つあるものだ。

そして黒龍は、「神族であれば、出来ないことは、

ほとんど無いからです」と言っていたが、果たしてそれはどこまで

事実だろうか。

頂点で世界を統べる大神は、どうなのだろう。

他の神を通してでなければ、下界の現状を把握出来ない。

地位が最上であればあるほど、行動範囲は狭くなる。そして地位が

下すぎても、同じ事なのだ。

だが中間に位置するものは、もっとも自由が得られるのかもしれない。

そしてその中間に位置するものが、二十八宿なのかもしれない。

二十八宿は、大神が創ったようなもの。結果、神族なのだ。

神がドラゴン達に定めた理も、神族ならば、無効化できると、

ドラゴンならば皆、知っているのだ。




時は、さかのぼること2時間前になる。

話し合いの結果、柳と鬼はこれから室と共に行動することに決まり、

そして室は、ドラゴン達と共にリアジスに攻め込むことにした。

そのため全員行くのだが、攻め込むという表現は、

少し違うのかもしれない。正確には、鬼の瞬間移動で、

アジトの中に移動するのだから。

鬼は、一度行った場所か、誰かの記憶を読み込めば、

どこへでも移動できるのだ。

そして、黒龍の記憶を読み取り、瞬間移動した。


しかし、皆はすぐに立ち止まることになるのだった。

〜続く〜



セリフが無い〜〜!(汗っっ
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.26 )

日時: 2007/09/06 15:13
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

(※注意?)

〜張と氏(上)〜
     ̄
室達一行は、リアジスのアジトに潜入できた。広間とおぼしき場所に移

動した。が、室達の目の前に現れたのは。

広間を埋め尽くすほどの、ドラゴンの、群。

封印の枷をはめられているためか、ドラゴン達は動かない。

そして、広間の中央には、太く立派な柱がある。しかし柱には、所々

何かの飛沫の跡がある。それは異様にどす黒い。

そしてその飛沫の主が、柱に鎖で繋がれ、虫の息となっていた。

「・・張・・・?」

柳は呆然と呟いた。柳と鬼は、この者を知っている。特に、柳は。

柳はそろそろと近づくと、ゆっくりと手を伸ばす。

血に濡れた黒髪を分けると、あどけない童女の顔が、そこにあった。

指の温かさが伝わったのか、童女の瞼が僅かに震える。

「・・・お、に・・さん・・・」

「・・くっ、張!」

張と呼ばれた童女は、鎖を断たれると、青年に強く抱きしめられた。

「・・あの・・子・・は・・・」

室は、青くなりながら鬼に尋ねた。すると鬼は、ああ、まだ思い出して

いないのか、とでも言うふうに鼻を鳴らして答えた。

「アレハ、ニジュウハッシュクノヒトリ。リュウノ、イモウトノヨウナモノダ。・・・ソレニシテモ、イッタイナゼ・・・」

(あれは、二十八宿の1人。柳の、妹のようなものだ。それにしても、

一体何故)

「は、早く手当をしないと!」

「そうです!このままでは、いくら二十八宿とて・・・」

焦る黒龍の言を最後まで聞かずに、鬼はふてぶてしそうに言った。

「ナメルナヨ、ドラゴン。ワレラヲアマクミルナ。・・・ソラ、ミテミロ」

(なめるなよ、ドラゴン。我らを甘く見るな。そら、見てみろ)

見ると、張は疲れてはいるものの、あれほどまでに酷かった傷が、

跡形も無くなっていた。

「どうして・・・」

「アレハ、ワレラノナカデモグンヲヌクサイセイノウリョクヲモッテイル。サキマデハ、

クサリニヨリチカラヲフウジラレテイタノダロウ」

(あれは、我らの中でも群を抜く再生能力を持っている。先までは、

鎖により力を封じられていたのだろう)

しばらくしてようやく、張は話せるようになった。

「お兄さん、有り難う、助けてくれて・・・。・・!

室お姉さん、封印が解けたのね・・・。良かった・・・」

室がいることに気付き、張は心底嬉しそうに笑う。お姉さんと呼んで

いるのだから、本当に慕っているのだろう。

「それで、何があったの?」

室の質問に、少し顔を曇らせたが、一つ息を吐いて言った。

「リアジスの行動がしばらく前から気になって、後をつけて

きたんだけど・・・。見たらこの有様で、気が付いたら、私は罠に掛け

られてたの。それで、私は捕まってしまったの・・・」

「・・・そうか。よく、耐えたな」

柳は、自分の上着を童女にかけてやると、辺りをきょろきょろと

見回した。

「氏は、どうした?」
  ̄
「それが、一緒に罠に掛かってしまったの・・・。別の場所に

いるみたい」

氏とは、張といつも共にいる、張の霊獣だ。

〜続く〜
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.27 )

日時: 2007/09/08 11:10
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

これを機に、番外編は本編の時代から、三百年以上前の設定にします。

(多分)

*:;,.★ 番外編(2)☆.,;:*

どさっと、荷の山を机に置くと、張はふうっと大きく息を吐いた。

倒れるようにして椅子に座ると、両足を無造作にほうりだす。

その横では、荷物運びの手伝いをしていた氏が、あーあ疲れたと言うよ
                           ̄
うに、床に寝そべっていた。

張は首を一つ鳴らすと、霊獣に話し掛けた。

「長かったね、今回の集まり。年に一度だけとは言っても、全員集まる

わけだから、変に気が張って疲れるのよね・・・。うーん」

一頻り唸り、そう思わない?と顔を向ける。しかし、頭にヒレの生えた

蜥蜴の霊獣は、そうだねぇと呟き、そのまま夢の世界へと旅立って

しまった。

ここは張と氏が住んでいる所で、他には二十八宿を含め、誰もいない。
       ̄
二十八宿は常に自由行動だ。神からの命が下れば即行成し遂げるが、

命が無ければいつも好きに暮らしている。

疲れたりしなければ、食事も睡眠も取らなくていいので、家って造る意

味有るの?と訊きたい所だが、形だけはしっかりしておきたいらしい。

そこへ、玄関のドアを軽く叩く音がした。

誰だろうと思い、許可すると、入ってきたのは大好きな仲間の1人

だった。

「あっ!室お姉さん!」

「さっき集会で集まったばかりだけど、こうして会うのは一月ぶり

だから、元気だった?」

「ええ。お姉さんも元気?・・・あ!」

童女の喜ぶ顔に、花が咲く。きらきらした目線の先に有るのは、彼女の

好物の季節の果物が沢山詰まった、手籠だった。

「ちょうど、私の住んでいる山の、果実の精がわけてくれたの。張は

これが好きだから、お土産に良いと思ってね」

「わあっ、ありがとう!」

室を椅子に座らせると、張は中から一つ選び、せっせと果実を洗う。

その間氏を起こそうかと思ったが、気持ち良さそうに眠っていたので、
     ̄
そのまま寝させる事にした。

「果実の精がね、今年のは上手に出来たって言ってたわ」

洗ったばかりの葡萄はみずみずしく艶があり、食べると甘酸っぱさが

口一杯に広がった。

「ほんとだ、美味しい!」

「でしょ?柳も来られれば良かったのにね」

にこにこしながら2人で葡萄をもくもくと食べている。むこうでは、

俺の分も残しといてくれよーとでも言うように、氏が眉間にしわを寄せ
                            ̄
たまま眠っている。

「そういえば」

「ん、何?」

張は笑いながら話だした。

「柳お兄さんとは、上手くいってるの?」

「えぇ?何、いきなり。そんなの・・・・分かるでしょ」

最後の言葉は、とても小さかった。見ると、室はうつむいたまま赤く

なっている。室はこの手の話には、昔から滅法弱いのだ。

張は感心した。なるほど、本当だ、見たらすぐ分かった。

百聞は一見にしかずと言うが、言霊は本当だと、意外な所で実感した張

だ。

そこで、氏が目を覚ました。まだ眠たい目を擦り、室に気づくと、
      ̄
ようっ、と片手を上げてにかっと笑う。対する室もにっこり笑う。

そして葡萄の存在に気づき、俺も食べたいと催促しながら駆け寄った。

張は笑いながら一粒差し出すと、氏は小さい両手で受け取り、嬉しそう
                     ̄
にかじり付いた。
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.28 )

日時: 2007/09/10 19:09
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

あれっ?

よく考えたら、番外編の季節って(1)が夏で、

(2)が秋になってる・・・。

ということは、次は順番で、冬ですねー。
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Re: 「神のone’s・relatives」( No.29 )

日時: 2007/09/12 20:29
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜張と氏(中)〜
     ̄
リアジスのアジトの地下一室から、ダンッ!ダンッ!と絶え間なく

音がする。

鳥かご以外、何も無い部屋だった。

「ダセッ!ココカラダセェッ!!」

(出せっ!ここから出せぇっ!!)

必死に抵抗し体当たりをするが、頑丈な鳥かごは傷付きはせず、逆に霊

獣の体が傷付くばかりだった。

張と離された氏は、気が付くと、この鳥かごの中にいた。
         ̄
何故鳥かごなのかというと、この霊獣が一見、普通の蜥蜴とあまり大差

無いからだった。いや、よく見たら、頭が大人の握り拳一つ分くらい有

る。

なめられたものだと、他には誰もいない室内を睨み、氏はそう思った。
                                ̄
しかし、鳥かごにはしっかりと力封じのまじないが掛けられている。強

行突破は無理と分かっていながら尚抵抗を続けるのは、少しの可能性に

賭けているからだった。

「コノアジトニ、チョウイガイノナカマノダレカガキテイル・・・。コノテイコウデ、オレノチカラガスコシデモ

モレレバ、モシカシタラ・・・・」

(このアジトに、張以外の仲間の誰かが来ている。この抵抗で、俺の力

がすこしでも漏れれば、もしかしたら)

そこへ。

バンッ!という音と共に、鍵の掛かっていたドアが破られる。

驚き、そちらを振り返ると、二つの影が有った。

「・・・無事か」

ドアを破壊した少年は、鬱陶しそうに前髪を掻き上げた。紺色の髪が

さらりと揺れる。

もう1人の女性が、鳥かごに近寄り手を当てる。すると、掛けられて

いた封じが一瞬の後に消えた。水色の長髪が静かに揺れる。

鳥かごから飛び出し、氏は安堵のこもった目で見上げた。
              ̄
「ケイ・・・!コウ・・・!」

(奎!亢!)

「たまたま、この近くを通りかかったの。そしたら、仲間と血の気配を

感じたから・・・」

「無事で、何よりだ。すぐにここを出るぞ」

女性の言葉を、少年が引き継ぐ。

この、一見すると姉弟に見える2人組は、女性が奎、少年の方を

亢という。

2人は、二十八宿だった。

〜続く〜
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.30 )

日時: 2007/09/23 23:17
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜張と氏(下)〜
     ̄
全回復した張を先頭に、室達は氏を見付けるべく疾走していた。
                    ̄
二十八宿は皆、ある程度仲間の気配を感じる事が出来る。しかし、どれ

が誰の気配かまでは、分からない。しかし。

「こっちよ!こっちから、氏の気配がする!」
               ̄
契約した者同士なら、確実に分かる。

「探す手間が省けたわ!・・でも・・・・」

室は、腑に落ちない点が一つあった。

ドラゴン達は、鬼と百煉が逃がしに行った。しばらくすれば、2頭は

戻ってくるだろう。それはそれで良いのだ、もっと別の事だ。

長い時間ここに居るのに、リアジスの人間にまだ出会さないのだ。

こんな事になった以上、早く元を叩かなければ、また被害が出る。

室は歯噛みした。自分も二十八宿だというのなら、何か技が使えても可

笑しくないはずだ。

「室さん、どうしたのですか?顔色が悪いです、御気分でも・・・」

「・・え?あ、違うの黒龍。そういうのじゃないから」

「そうですか。それなら良いのですが、あまり無理はされないで下さい

ね。不死身ではないと聞きますから・・・」

そこで、前を走っていた張が、首を黒龍に向け目を眇めて言った。

「あのねぇ、最初に鬼が言ったのと同じだけど、私達の体は柔じゃない

の。そんじょそこらの攻撃じゃあ死なないの。分かる、黒ちゃん?」

早口で言い切り、どうよ、文句ある?という顔をする。

同時に、室と黒龍は同じ衝動に駆られた。

あれ、最初と何かが違わない?と。

しばらく表情の変わらない室を見て、柳はそっと教えてやった。

「あいつは、言葉遣いを相手によって変えるんだ」

「・・・そうだったんだ」

室より少し遅れて我に返った黒龍は、必死に反論した。

「そっ、それは済みません。ですが、黒ちゃんは止めてくださいっ!」

「もう決定よ?黒ちゃん。すぐに言ってればねえー・・・」

「何故!?あっ・・・、黒ちゃんってまた・・・!」

黒龍、間違いなく下目に見られてる。かわいそうに、けど少し面白い。

室はひそかにそんな事を思っていた。

そこで、張は一瞬目を見張り、いきなり急停止した。他の3人も同様に

止まる。

「みんな、氏の気配が動いたわ!それに、二十八宿の誰かが一緒にいる
       ̄
みたい!」

ということは、氏は仲間の誰かに助けられたのか。
         ̄
皆がそう思っていると、何処からともなく騒がしい足音が響いて、皆は

瞬く間にリアジスに囲まれた。

どうやら、なんらかの罠が発動したらしい。

室達が戦闘態勢に入った、その時。

バッシィ!!!

電撃の塊が、リアジスを焼き、爆ぜる。

爆音と電光が、数秒後に止んだ。

電光の所為で目を閉じていた室達は、辺りを見回す。

立てるリアジスは、もういなかった。

「同胞がいるので、邪魔だからこいつ等を散らそうと思ったのだがな」

敵意をあらわにした声が、アジトの中に響いた。

皆が一斉に、同じ方向を見る。電撃が飛んできた方向だ。

「貴様がいるとはな、室・・・!」

そこには、氏と奎を連れた亢が、氷刃にも似た視線を室に向けて、立っ
       ̄
ていた。

〜続く〜
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Re: 「神のone’s・relatives」( No.31 )

日時: 2007/09/27 19:34
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜凍てつきのペガサス(上)〜

実際そうなのだが、亢が鬼神のごとき眼光を室に向けていたので、柳が

慌てて室の前に出た。

「柳?何故、其奴をかばう!?」

「今のこいつは、封印を解いた反動で、記憶を失っている。おまえの言

い分も分からんでもないが、今こいつを責めるのは、止して欲しい」

「・・忘れているだと!?罪を犯しておきながら、勝手に忘れて、のん

きに出歩くだと!?・・・しゃあしゃあと!」

「失っているからこそ、記憶を戻すのに良かれと、俺達はこいつと共に

いる!」

いきりたった亢は、左腕を掲げ、ピンッと指を鳴らす。一瞬して、擦っ

た所から火花が生まれた。

「・・・・亢!」

亢は左腕を掲げたまま止まった。皆が声の方に視線を向けると、目に憂

いを映した奎が、痛切に訴えた。

「お願い・・傷つけないで。・・・もう、傷つかないで・・・」

「奎・・・」

氏はおろおろしながら奎の名を呼んだ。今の会話で、大体の事は予想出

来た。自分は、亢と気持は少しは分かる。だが自分は、室を根っから責

める気は無い。室を良い奴だと、罪を犯した今でも、そう思えるから。

やがて決心し、氏は室達の所に走ると、亢に振り向いた。
          ̄
「・・・オレ、ヤッパリコッチガイイヤ。コウノキモチハワカルケド、ハツイガイツカオモイダシテ、ソレデモワ

ラウヒヲ、オレモミテミタイカラサ」

(俺、やっぱりこっちが良いや。亢の気持も分かるけど、室がいつか思

い出して、それでも笑う日を、俺も見てみたいからさ)

助けてくれた事に礼を言い、尻尾を振る。

面食らった亢はぐっと押し黙ると、すっと後ろを向いた。

「・・・勝手にしろ。ただし、我が室を許さないという思いは、変わらない」

すると、少年の姿は一瞬のちに消える。亢が消えたのを確認すると、奎

は優しく言った。

「この建物内のリアジスは、すべて退治たと思います。しかし、この者

達の隠れ家は、ここだけでは無いようです。今後、リアジスに狙われる

ような事が有るのなら、重々注意して下さいね。・・・中には、私達に

対抗出来る、魔術師がいるようですから」

言い終わると、奎もすっと消えた。アジトの中から、2人分の気配が消

えた。

その後、数十秒の沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは、張だった。

「・・・よかったぁ。氏が無事で・・・」
           ̄
ぎゅっと霊獣を抱きしめる。抱きしめられた方は少し苦しそうだったが、 

有り難う、と言葉を紡いだ。そして、室の方に目を向ける。室は、さっ

きからうつむいたまま動かない。衝撃を受けたのだろうか。

「・・・ハツイ?」

(室?)

心配して呼びかけたが、返事が無い。もう一度呼びかけようとすると、

室の体がぐらりと傾いた。

どさりと、音がすると同時に、皆の背を氷塊が滑った。

「室!!」

慌てて触れた頬は、氷のように冷たかった。

〜続く〜
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.32 )

日時: 2007/09/30 19:02
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜凍てつきのペガサス(中)〜

「室さん、しっかりしてください!室さん!」

「うるっさい、黒すけ!そのために、室お姉さんを助けるために、移動

してるんだから、少しは静かにして!」

黒龍は思った。どう考えても張の怒声のほうが黒龍に勝っているのだ

が。張の言う通り、皆は今、室を救うために鬼の背に乗って、ある場

所に向かっていた。

「鬼!まだ、箕と斗の所には着かないのか!?」

「・・ワルイ、リュウ。アノバショヘハ、オレモイッタコトガナイカラナ。・・・ホカニ、イッタコトカノアルヤツ

ガアマリイナイトイウカラ、シュンカンイドウガデキヌノダ」

(悪い、柳。あの場所へは、俺も行ったことが無いからな。他に、行っ

たことの有る奴があまりいないというから、瞬間移動が出来ぬのだ)

「・・・分かってはいるが・・。これは俺の八つ当たりだな、済まない」

柳は焦っていた。柳だけでなく、皆も。

雪に彩られた山々の上空を、北風と共に飛翔する。

柳は、自分の腕の中にいる室を見た。吹き抜ける北風よりも、その肌は

冷たく、心拍は、無い。

最初柳は、息が詰まりそうになった。しかし、彼の持つ正確な判断力と

感が、道を示してくれた。

室は死に至る程の怪我を負ってはいない。急げば、まだ助かる可能性が

有る、と。

同胞達は、柳の感の正確さを知っていた。そして張が黒龍を言い聞か

せ、皆は今、二十八宿の薬師の双子と呼ばれる2人が住む、雪山へと向

かっていた。

切羽詰まっていたためか、成り行き上黒龍は百煉と別れ、しなくて良い

のに、いつの間にか「黒龍はこれからも室達と共に行動する」というこ

とになってしまった。本人はその事に気づいていないようだが。

しばらくすると、雪山の上に建つ一軒の家が見えてきた。柳が目ざとく

見つけた。

「・・・ん?・・あの家から、仲間の気配がする!」

そして皆は降り立った。家は木の造りでかなり大きく、家の周りには、

2人分の小さな足跡が有った。

張がドアを叩いた。柳は、室を抱き上げている。

そして応じる声がした。間も無くして、見ためが張よりも1歳分幼いく

らいの、8歳くらいの少女が1人、出てきた。

「はい、どちら様・・・って、あれ、張?」

赤い髪の少女は、久し振りに会う仲間に驚いた。

「お願い、斗!助けて欲しいの!」

大きな声を聞きつけて、家の奥からもう1人、見ため8歳の青い髪の少

女が出てきた。

「どうしたの?あれ?張、久し振りだね。・・・どうしたの?」

張の必死な様子に、箕と斗は驚いた。そして室を見せ、今までのことを

手短に話すと、箕と斗は中に入るように言った。

鬼と黒龍はさすがに大きくて入れないので、外のあまり風の当たらない

所で待った。

家の中は、外と違って暖かく、術が掛けてあるようだ。そして暖炉が有

るので、箕は柳に、室を暖炉の少し前に横たわせるように言った。

斗が暖炉の前に毛布を敷くと、柳はその上に室を寝かせた。

室の状態が何なのか知ると、双子はうーんと唸った。

「・・・これは、毒だね。どさくさに紛れて、リアジスの持っていた毒

の煙か何かを吸ったんだと思う。それも、魔術で作った毒だよ。そして

入念に術と毒を混ぜたものだから、薬じゃ対処出来ない・・・」

「特殊な毒なんだ。・・・多分、魂を体から離脱させる術と、身体機能

を低下させていく毒。・・・ごめん、助けたいけど、斗の言う通りで無

理だよ・・・このままじゃ、本当に死んじゃう」

双子の言葉に氏はうつむき、張は悲鳴混じりに泣いた。
          ̄
項垂れる双子を見て、柳は歯を食い縛った。助けられないのか、本当

に。助けると心に決めたのに。

すると、彼の脳裏に、二十八宿の1人の顔が浮かんだ。

「危は!?」

「・・え、柳?・・・うみ・・やめ・・って、あ、そうか!」

柳の突然の発言に、皆はしばらく意味が分からなかったが、やがて納得

した。

「幾つもの修羅場を乗り越えてきた、経験豊富な危の姐御なら、助ける

すべを知っているかもしれない!」

張の言葉に、皆は同意した。

〜続く〜
メンテ

Re: 「神のone’s・relatives」( No.33 )

日時: 2007/10/04 16:04
名前: 璃璃
情報: softbank219058202107.bbtec.net

〜凍てつきのペガサス(下)〜

人だけでなく、動物は、寝ている時に夢を見る。

一説では、睡眠時に魂は体を抜け出して、普通は行けないような場所に

行ったり、出来ないような事をやってのけたりする。それが夢だと。

その場合、夢は俗にいう幽体離脱と似ている。幽体離脱は、下手をすれ

ばそのままあの世行きになってしまうとか。



花畑だ。

目が覚めると、花畑の中に居た。室は小首を傾げる。どうして、自分は

花畑に居るのだろう。

記憶をさかのぼってみても、アジトの中でリアジスに囲まれて、それか

ら分からない。移動した覚えもないし、そもそもこんな場所は知らな

い。

とにかく、移動してみよう。

適当に方向を決め、室は進み出した。その間、花の中から小さい何かが

出てきては、それらは室を不思議そうに、花の影から見詰めていた。

室がたずねようとすると、それらはすぐに逃げるので、仕方なく歩き続け

る。

「あれ・・・?何か見えてきた」

1時間は歩いたころ、花が咲き乱れていたのがやがて地肌がのぞき始

め、しまいには草木一本ない所に出た。

その時にはすっかり暗くなっていて、よく見えない。目を凝らしながら

足を進めると、水のせせらぎが聞こえ始めた。

川だろうか。

すると、暗かったため、手に何か硬い物が当たった。同時に何かが崩れ

た。

「あぁーーーーー!!」

耳をつんざく程の、甲高い声が響いた。

室は目をぱちくりさせた。人がいたのか。

目を凝らしてみると、悲鳴の主と思しき少年が、目に涙を浮かべて室に

怒鳴りかかった。

「おまっ、おまえ、何すんだよ!ここまで積み上げるのに大変だったん

だぞ!?」

「えっ、何を積み上げてたの?」

少年は呆れたように言った。

「はぁ、何言ってんの?石だよ、石!」

「何で石を・・・?」

当然のように訊いてくる室に、少年は頭をがっくり下げた。

しばらくそうしていたが、少年はふとあることに気づき、頭を上げた。

「ん?あんた、どうしてここにいるんだ?」

それはこっちが訊きたいのだが。

室が答えないので、少年は腕を組んで考えた。

「道を間違えたのか?・・・おかしいなぁ、間違えるはずないのに」

「え、どういう事?それに、ここはどこなの?」

室が何も知らないので、少年は目眩を覚えた。そっと額に手を添える。

「・・・ここは三途の川の、それも、子供だけが来る、賽の河原だ」

〜続く〜
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Re: 「神のone’s・relatives」( No.34 )

日時: 2020/09/15 19:44
名前: ポケモン初心者
情報: m106072175192.v4.enabler.ne.jp

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